2022年06月30日( 木 )
by データ・マックス

第一生命が詐欺容疑で『実録 頭取交替』登場の元社員を刑事告発(29)田中特別社友のトラウマから逃げられない山口金融グループの実態(4)

 【表1】を見ていただきたい。2004年5月21日に開催された臨時決算取締役会議における田原頭取罷免動議に対する改革派と守旧派のメンバーと裁決表である。監査役2名が出席しているが議決権がないため省略している。

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~この表から見えるもの~
◆同日午前9時から開催された経営会議の議長は田原頭取であったが、午後1時から開催された臨時決算取締役会議(以下、取締役会議)の議長は守旧派の勝原一明会長。
 午前中の経営会議は6対5の過半数で田原頭取罷免が決議されている。取締役会議には組合幹部出身で守旧派の藤井英明岩国支店長、加藤敏雄本店営業部長、野坂文雄福岡支店長、改革派の浜崎裕治宇部支店長(筆者)が加わり、15名の取締役による決議が進むことになった。
◆経営会議と同様に04年3月期の決算に関する議案はすべて承認された。田原頭取を含む8人の取締役再任と新任取締役候補の人事案が田原頭取より上程された。それに対して守旧派で筆頭専務の広田英夫徳山支店長が、即座に異議を申し立てた。
◆異議申し立ての人事案は、田原頭取の再任について分離するもので、全員異議なしで承認された。次に田原頭取罷免とその後任取締役候補として財満寛萩支店長兼浜崎支店長とする議案の裁決に移った。
 採決の結果は明らかであった。勝原議長は田原頭取罷免の動議に反対する取締役の挙手を求めた。反対は6人。過半数を割っていることを確認した守旧派の勝原議長は棄権を表明。
 一息ついて、田原頭取罷免の動議に賛成する取締役の挙手を求めた。賛成は8人。過半数が賛成し田原頭取の罷免と財満寛支店長の取締役選任が賛成多数で承認された。

 【表2】を見ていただきたい。田原頭取の再任に賛成した改革派の役員は任期を迎えると再任されることはなく山口銀行を去っている。一方、田原頭取更迭に賛成した4人の取締役と田原頭取の後任の財満取締役は厚遇されているのがわかる。再任を繰り返し昇任していく取締役5人の在任期間推移表である。

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◆西原専務取締役(元組合委員長)は11年6月までの通算在任期間は11年。
◆福田浩一取締役(東京本部長)は、田原頭取の罷免により04年6月に後任の頭取に就任。
・06年10月に設立された山口FGの社長(山口銀行頭取兼務)。
・14年10月、北九州銀行取締役会長兼もみじ銀行会長も兼務。山口銀行が九州の支店を分離して北九州銀行を設立し、山口FG傘下行が3行となったことによる。
・16年山口フィナンシャルグループ取締役会長(傘下3行の会長を兼任)。
・18年2月18日、現役会長のまま脳腫瘍で死去。
◆以下、加藤取締役の通算取締役在任期間は14年。田原頭取の指名を受けて取締役となった福岡支店長の野坂取締役は13年。財満取締役は14年。現在も加藤取締役は北九州銀行の特別顧問、野坂取締役ももみじ銀行の特別顧問を務めており、影響力を維持していることが読み取れる。
参考までに、田原頭取の罷免に賛成した守旧派3人がそれぞれ抱負を語っているYMFGディスクロージャー2013情報誌編を転載する(抜粋)。野坂文雄取締役はもみじ銀行、加藤敏雄取締役は北九州銀行の顧問に就任する前にそれぞれ頭取に就任している。

<まとめ>
 西原克彦氏は末広馨会長の後を受けて、山口銀行OBを束ねる清交会の会長であり、財満寛氏は副会長。今も山口金融グループは、「頭取交代劇」を演出した田中相談役の「トラウマ」から逃げられない状況にあることがわかる。

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(つづく)

【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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