2024年04月20日( 土 )

山口県宇部市長選~激化する林派対河村派の代理戦争

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【表1】を見ていただきたい。山口県の衆議院選挙区の概況である。

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~この表から見えるもの~ 
◆保守王国である山口県の衆議院議員4名は自民党に所属している。
・第1区の高村正大議員は父の高村正彦元議員の引退を受けて立候補し当選。麻生派。
・第2区の岸信夫議員の旧姓は安倍。父は安倍晋太郎元議員で安倍前首相の弟。細田派。
・第3区の河村建夫議員は県会議員を経て衆議院議員。二階派。 
・第4区の安倍晋三は前首相。父は安倍晋太郎で岸信夫議員の実兄。細田派。
◆山口県の4選挙区のうち2区を安倍一族が占めている。河村議員以外は二世議員である。

~代理戦争となった宇部市長選挙~
◆現在の3区と4区にあたる旧1区は、林芳正参院議員の父の義郎氏と河村元官房長官と安倍前総理の3人が縄張りにしてきた。しかし、1996年の衆院選への小選挙区制の導入で、河村氏が3区を、安倍氏が4区を取り、義郎氏は比例に転出し、没後、芳正氏は参院山口選挙区から出馬せざるを得なくなった経緯がある。小選挙区制が導入されて、はや四半世紀。いまだに山口県は中選挙区時代の遺恨を引きずっていることがわかる。

◆宇部市では先月、体調不良を理由に久保田后子市長が辞職。宇部市長選は11月15日告示、22日投開票。後任を選ぶ選挙には、河村議員が推薦する元市政策広報室長で厚生労働省出身の望月知子氏(49歳)、林芳正参議院議員の元公設秘書、元県議(自民党)の篠崎圭二氏(39歳)が立候補を表明しており、一騎打ちの戦いとなる。
◆衆院山口3区において人口最多の宇部市の市長選は、次期衆院選で3区への鞍替えを模索する林参院議員(59歳)と現職で二階派の河村建夫衆議院議員(78)との間のまさに代理戦争が展開することになったのだ。

<むすび>
 22日投開票される宇部市長選挙で、河村議員が推薦する望月氏か林氏が推薦する篠崎氏のどちらが当選するかによって、第3区は河村氏がそのまま居残れるか、それとも林議員が衆議院に転出できるかにも影響をおよぼす、生き残りを賭けた天下分け目の戦いとなりそうだ。

【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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