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2020年11月11日 11:37

住友不動産の違法欠陥マンション「シティタワー大濠」の欠陥(1)

 被害者の会を立ち上げた、福岡市内のマンションの「シティタワー大濠」の欠陥について報じていきたい。以前に、住友不動産販売が分譲したマンションの欠陥を報道し、「住友不動産違法欠陥マンション被害者の会」というサイトも紹介している。

構造スリットの未施工と基礎杭の長さ不足

 シティタワー大濠は中央区の護国神社の向かい側に建つ鉄骨鉄筋コンクリート造15階建ての分譲マンション(2000年3月竣工、31戸)であり、分譲時の価格は1,980万円~9,800万円。以前に報じたように、このマンションには下記の欠陥がそんざいすることが判明している。

<2012年>
 マンション本体に、コンクリート注入不足による多数の空洞があることが判明。コンクリートかぶり厚の不足により、鉄筋の赤サビ、コンクリートの爆裂が判明。ジャンカも多数発見。

<15年>
 エントランス内の自動ドアがマンション本体の柱と結合していないことが判明。

<216年>
 建築確認申請書や竣工図(完成図)には構造スリットが明記されているが、実際には構造スリットが入っていないことが判明。

<17年>
 マンション本体を支える基礎杭が決められた深さに到達せず、支持層に入っていないことが判明。

 上記の欠陥のうち、エントランスの自動ドアと鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚不足やコンクリートの爆裂については、すでに補修が行われた。構造スリットが施工されていなかった問題については、分譲会社の住友不動産販売(株)、施工会社の(株)熊谷組、管理組合との間で協議され、構造スリットの是正工事を行うことが決まっていた。

 しかし、工事の方法をめぐり、区分所有者から疑念が生じ、工事方法の妥当性を第三者機関の(株)ERIソリューション(民間確認検査機関の日本ERI(株)の関連会社)に判定してもらうことになり、第三者機関からは「構造スリットの施工方法は妥当」の回答が得られている。

 基礎杭が支持地盤に届いていないことは、構造スリットと同様、もしくはそれ以上に深刻な問題である。

理事会・管理会社への不信から管理組合が迷走

 住友不動産販売および熊谷組は、シティタワー大濠の欠陥である「基礎杭が支持地盤に到達していない状態」について、建設業界の団体である(一社)建築研究振興協会(以下建振協)に検証を依頼し、建振協から「概ね了承」との回答を得ている。

 建振協の理事には、大学教授などのほか、清水建設(株)・(株)大林組・大成建設(株)・鹿島建設(株)などがメンバーに名を連ねており、法人会員(49社)のうちほとんどがゼネコン・設計事務所・土木コンサルタントである。このマンションの施工を行った熊谷組も建振協の会員である。

 ゼネコンの団体である建振協の検証が客観的で公正であるとは考えられないが、管理組合の理事会や弁護士・管理会社の住友不動産サービスは、「建振協にお墨付きをもらった」という結論を急ぎ、異を唱えた区分所有者が理事に立候補した際には、理事の定数に不足している状況であったにもかかわらず、排除した経緯がある。

 建振協の本部は(一社)日本建築学会が所有する建築会館のなかにあり、いかにも中立的な第三者機関というイメージを与えているが、上記の通り、ゼネコンなどにより構成される建設業界の団体に過ぎない。そのような建設業界団体が与えたお墨付きを、大半の区分所有者が信じていることに筆者は驚いた。建振協の実体をしっかり見極め、自分らの資産とマンション住人および近隣の市民の安全を守るべきである。

 構造スリットの補修方法については、住友・熊谷側から補修方法が提案され、第三者機関であるERIソリューションから「妥当」と回答を得ているが、管理組合理事会や管理会社が説明不足のまま補修を急ぐことに不信感を抱いた区分所有者から、構造スリットの補修方法について疑問の声が挙がり、管理組合が迷走を始めている。

中途半端な区分所有者への説明

 構造スリットの未施工と基礎杭の長さ不足が判明している福岡市中央区の分譲マンション、シティタワー大濠では、区分所有者から上がっている疑問のうち、工事中の騒音について11月8日に説明会を開催し、すでに熊谷組が買い取っているマンション内の住戸をサンプルルームとして補修工事中の騒音を住人に体感してもらう方針を提案した。

 しかし、区分所有者からの大きな疑問である「補修後の構造スリットの長さが図面より短い」「スリット部分のコンクリート躯体を残すことの影響」などについては説明がなかった。

(つづく)

【桑野 健介】

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