2022年07月06日( 水 )
by データ・マックス

住友不動産 違法欠陥マンション「シティタワー大濠」の欠陥(4)

同じ住友不動産でありながら横浜のマンションとの対応の違い

 ――住友不動産販売が分譲した横浜市内の「パークスクエア三ツ沢公園」(設計・施工は熊谷組)においては、杭工事のデータ改ざんと建物の傾斜が発覚し、住友は建替えの方針を表明しました。

 仲盛 パークスクエア三ツ沢公園では、基礎杭の長さ不足に加えて、梁のスリーブを後工事した際に鉄筋を切断したことが判明し、傾斜した棟以外の棟も含めて 全棟を建て替えることになりました。横浜でずさんな工事を行った熊谷組が施工した福岡のシティタワー大濠においても同じレベルの手抜き工事が行われていたということです。

 ――横浜と福岡での住友不動産販売と熊谷組の対応の違いの理由は何でしょうか?

 仲盛 首都圏と比べて地方を見下すのは、大企業に見られる傾向だと思います。たとえば、福岡県久留米市の新生マンション花畑西というマンションの裁判では、施工業者である鹿島建設は、マンション区分所有者に対し不誠実な対応を続けていました。しかし、鹿島建設は、東京の南青山のマンションにおいて施工の不具合(鉄筋の切断)が発覚した際には、すぐに建替えを表明しました。このときの鹿島建設の対応に、首都圏と地方の違いを強く感じました。新生マンション花畑西の裁判は、最終的に鹿島建設が和解金を支払うことで合意しました。

 ――シティタワー大濠の管理組合や区分所有者も大きな声を挙げるべきですね。

 仲盛 シティタワー大濠の区分所有者たちが、なぜ、横浜などほかのマンションの例を突き付けて住友らを追及しないのか 不思議に思いますが、建築紛争の場合、業者側に専門知識があるのと比べ、区分所有者側は建築の知識がない場合がほとんどですから、弱者が泣き寝入りとなるケースが多いのです。専門知識がないことについては、実績のある専門家を起用すれば良いのではないかと思います。

 ――住友不動産販売や熊谷組の対応に不満がある区分所有者に対しては、熊谷組による買い取りも提示され、現在、5戸が買い取りを希望しているそうです。

 仲盛 「買い取ってもらえれば、それでいい」と考えている区分所有者が、買い取り価格に納得すれば、買い取ってもらえばいいと思います。しかし、このマンションは、その立地や眺望の素晴らしさから、中古で売りに出された場合、かなり高額になり、分譲時の価格を上回るという話も聞いています。熊谷組の買い取り価格が分譲時の価格を超えることはないと思われます。

 このマンションに人気があり相場が高くても、欠陥が明らかになれば価値も下落してしまいます。その原因をつくったのは住友不動産販売と熊谷組ですから、買い取りという方法よりも、適法で安全なマンションに建て替えるということが本筋ではないかと思います。

 ――建築基準法は震度6強以上の地震に対して、建物に多少の損傷があっても倒壊せずに建物内の人間が避難できることを目指しています。シティタワー大濠の現況は、建築基準法が定めた最低限のレベルを下回っていますが、住友不動産販売や熊谷組は、「建築基準法を満たしていないが安全」と説明しています。

 仲盛 日本の地震の震度は震度0から震度7までの10段階に区分されています。注意しなければならないのは、震度7以上の揺れであっても震度7にひとくくりにされることです。熊本地震では、前震も本震も震度7でしたが、本震の揺れは前震の何倍も強く、震度7より上の区分があったならば震度8だったかもしれません。震度6強を想定した建築基準法を満足していないマンションが震度8の地震に耐えられるとは考えられません。

 住友不動産販売や熊谷組、建振協が「建築基準法を満たしてなくとも安全」と説明していることにはまったく説得力がありません。根拠のない説明に惑わされることなく、区分所有者たち自らが事の本質を見極めるべきです。

【桑野 健介】

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