2024年04月20日( 土 )

ブラウザ戦争の行方~インターネット検索のかなめ(前)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

スマホやパソコンでさまざまなウェブサイトを閲覧できるのは、「ウェブブラウザ(インターネットブラウザ)」というソフトウェアのおかげだ。Googleのクローム(Chrome)、Appleのサファリ(Safari)17.7%、モジラ(Mozilla)のファイアフォックス(Firefox)などが席捲するウェブブラウザ市場では、激しいシェア争いが繰り広げられている。

Googleのクロームがシェア首位

 インターネット技術の発達により、スマホやパソコンを用いて、動画や写真の双方向のやり取りなど、インタラクティブなコンテンツをふんだんに活用したウェブサイトやアプリでさまざまなサービスを利用できる。

 ウェブサイトを閲覧するために使うソフトであるウェブブラウザの「ブラウザ」は、「立ち読みする。拾い読みする」という意味の英語、「browse」に由来する言葉だ。インターネットで何かを調べるときには、基本的にブラウザを立ち上げてから検索する。

 ここで注意が必要な点は、インターネットの「ウェブ」とウェブブラウザは異なるということだ。たとえば、メールがインターネットそのものではないように、ウェブもインターネット上で動くサービスの一種であり、ウェブブラウザは、ウェブのようなさまざまなサービスを背後で支える存在である。

 グローバル市場の調査会社であるスタットカウンター(StatCounter)によると、ウェブブラウザの世界シェアはクローム64.1%、サファリ17.7%、 ファイアフォックス4.6%(2020年3月)。

 クロームが2位のサファリとの差を大きく広げ、抜きんでてトップだ。一方、サファリは18%程度のシェアを占め、アップルが牙城を築いていることがわかる。

 以前は主力であったマイクロソフト(Microsoft)のインターネットエクスプローラー(IE)のシェアは1.7%にすぎず、IE時代は終焉を迎えつつある。マイクロソフトは、IEの後継としてエッジ(Edge)というブラウザを発表しているが、そのシェアはまだそれほど伸びていない。しかし、日本や韓国では今でもIEを使用している金融機関や官公庁があり、一部でシェアを維持している。

ウェブブラウザの歴史

 ウェブブラウザの歴史を振り返ってみよう。

 ウェブは本来、欧州合同素粒子原子核研究機構(CERN)のソフトウェア研究家であるティム・バーナーズ=リーの提案で、1989年3月に研究開発がスタートし、当初は、大学や研究機関に勤める物理学者同士の情報交換と、共同研究を手助けするためとして考案された。

 世界初のウェブブラウザである「World Wide Web(ワールドワイドウェブ)」は、テキストのみを表示し文章をリンクしていたが、画像は扱えなかった。

 そのため、ブラウザが世界的に普及したのは、米国立スーパーコンピュータ応用研究所(NCSA)が93年にリリースしたモザイク(Mosaic)からである。モザイクは滑らかなGUI(グラフィカルユーザインターフェース)を提供し、大衆的な人気を博した。モザイクは、世界で最初に普及したブラウザといってもよいだろう。

 ウェブの爆発な普及をもたらしたのは、ネットスケープ社のネットスケープ・ナビゲーター(Netscape Navigator)というブラウザが発表されてからのことだ。このナビゲーターはモザイクを開発したNCSAとジム・クラークというアメリカの実業家によって開発された。

 ナビゲーターは使いやすく、通信速度が速く、ウェブの普及に大きく貢献したと評価されている。ネットスケープ社は機能限定版のブラウザを無料で配布し、「制限を解除したいときはお金を払ってください」という販売戦略で、シェアを広めることに成功。98年には9割近いシェアを占め、ブラウザ市場を制覇した。

(つづく)

(後)

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