2024年04月18日( 木 )

コロナの陰で明暗(5)老人たちは体調不良で永眠が増大、通知されず孤独に

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1.妻の看護に疲労困憊、道連れとなった夫婦

 最近、連絡のない友人たちを思い出すたびに用事の合間に電話する。「おーい、この1年間、声を聞いていないが、元気か?」と尋ねた。相手のAの声は暗い。「実は家内の寿命も残りわずかだ」と声を落としての返事が返ってきた。「癌の発病から10年になるよね」と確認したら「そうだ。もう10年になる」と答えた。10年間のAの奥さんへの看護の献身には頭が下がる。ただ本人も看護疲れをしており、自身の体調を壊すリスクがある。

 東京に住んでいた身内も同じパターンであった。姉も10年、癌との闘いを繰り返してきており、義兄が4年間、自宅で看護に専念していたのであるが、最後の2年は共々、癌患者となり悲惨な結末となった。3カ月をあけて2人とも成仏したのだ。姉は夫の死亡を知らせられることもなく、家族とも会えずに孤独にこの世を去った。コロナ蔓延下の悲劇である。

 Aにおいても同様のパターンが繰り返されることを危惧している。本人の手に負えなくなった妻を病院に預けたが、A曰く「ただゴロゴロ横になっているだけ。意識も朦朧としている。時間が限られてきた」。本人も自身の癌との闘いに精一杯で悪戦苦闘している状態だ。妻は「コロナ禍で子どもたちとの面会も制限を受けており、可哀想だ」と涙声になる。

2.4カ月連絡の無かった経営者も癌であった

 「そういえば4カ月連絡ないな。B会長」と思い立ち電話したら女性の声。奥さんである。「いやー驚かれるでしょうが、あんなに元気であった旦那が癌になっているのです。コロナ蔓延下では見舞いもできませんので連絡しませんでした。心配するほどでありません」という奥さんの説明に安心した。奥さんに狼狽している様子も感じられない。

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