• このエントリーをはてなブックマークに追加
2020年11月19日 16:32

62%の鉄筋不足。マンション全体で7,000本以上の鉄筋不足!区分所有者が西鉄らを提訴~恐怖のマンション「パークサンリヤン大橋」(1)

 九州の私鉄の雄・西日本鉄道(以下「西鉄」)は、鉄道・バス事業、ホテル事業などの他、福岡都市圏などに分譲マンション「サンリヤン」シリーズを展開し、176棟計8,890戸(2020年4月1日時点)の供給実績を誇る。西鉄が分譲した福岡市南区のマンション「パークサンリヤン大橋」(01年3月竣工)において、違法で不適切な設計に起因する耐震強度不足と、柱の鉄筋不足(マンション全体で7,137本)が判明した。

区分所有者が提訴

 マンションの耐震強度不足や鉄筋不足を知らされずに購入した区分所有者の1人は、設計を行った福永博建築研究所、施工を行った西鉄建設、分譲を行った西鉄などを相手取って、11月19日、5,031万円を求める損害賠償請求を提訴した(原告代理人は小橋総合法律事務所・小橋弘房弁護士)。

 被告は、元請設計事務所の(株)福永博建築研究所および代表者で管理建築士の福永博(以下、敬称略)、構造設計を行った(有)松藤構造設計および代表者の松藤嗣寛、施工を行った西鉄建設(株)、分譲を行った西日本鉄道(株)の6者。

 訴状によれば、鉄骨鉄筋コンクリート造(以下、SRC造)である「パークサンリヤン大橋」の耐震壁方向には鉄骨が配置されていないので、構造計算(保有水平耐力計算)は鉄筋コンクリート造(以下、RC造)の係数を用いなければならないところ、不正なSRC造の係数を用いたため、耐震強度が不足する違法な状態となっている。

 また、建築基準法施行令に定められた RC造の柱に最低限必要な鉄筋量に対して62%もの鉄筋量不足となっている。

驚愕の鉄筋量不足

 このマンションの裁判に関して、今後詳細に報じていく。今回は驚愕の鉄筋量不足について報じたい。

 耐震壁方向に鉄骨が配置されていない柱においては、当然のことながら、柱の鉄筋量も鉄筋コンクリート造の基準を満たさなくてはならない。このマンションの柱符号2C4(2階)を例に挙げれば、柱断面が115cm×115cm、柱主筋が8-D25(鉄筋D25・1本の断面積:5.07cm2)となっている。

 建築基準法施行令第77条6項は「主筋の断面積の和は、コンクリートの断面積の0.8パーセント以上とすること」定めている。

 日本建築学会「鉄筋コンクリート構造計算基準」においては「コンクリート全断面積に対する主筋全断面積の割合は0.8%以上とする。ただし、コンクリートの断面積を必要以上に増大した場合にはこの値を減少させることができる」と定めている(緩和規定は一般的には0.5%以上と解される)。

本件マンション柱2C4のコンクリート断面積は
 115cm×115cm=13,225cm2、主筋断面積の和は 5.07cm2×8本=40.56cm2
 40.56cm2/13,225cm2=0.307% < 0.8%・・・NG
 0.307/0.8=0.38 ← 62%もの鉄筋不足!
となり、建築基準法施行令第77条6項に違反しており、緩和規定さえも大幅に下回っている。これは、法令違反・注意義務違反の不適切な設計である。

 この柱に本来必要な鉄筋量は105.8cm2であり、同じ鉄筋径(D25)とした場合の本数としては21本以上となるので、21本-8本=13本も不足している。このマンションは4棟(15階建て~12階建て)から構成されており、単純に不足する鉄筋本数に階ごとの柱本数と階数を乗じると、マンション全体で実に7,137本も鉄筋が不足していることになる。7千本以上の鉄筋が不足しているマンションに205世帯の住人が暮らしているのである。

 今回の提訴により、マンションの区分所有者は耐震強度・鉄筋量不足の事実を知ることになる。万が一、このマンションが倒壊するようなことがあれば、近隣の住民や前面道路の歩行者・自動車にも被害をもたらし、マンション区分所有者が加害者となってしまう可能性もある。驚愕の事実を知った区分所有者たちが西鉄に対し何らかの行動を起こす可能性も高く、今後の行方が注目される。

【桑野 健介】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

     

トップニュース

2021年01月24日 07:00

【長期連載】ベスト電器消滅への道(5)

 ベスト電器は2010年1月、有薗会長、濱田社長が経営責任をとって退任し、深澤政和副会長が代表取締役社長に、井澤信親氏が代表取締役専務となる新人事で年を明けた。しかし...

2021年01月24日 07:00

【年頭所感】コロナ禍の逆風のなかで新たな挑戦、太宰府市をより住みよいまちに〜楠田大蔵市長(後)

 当面はコロナ対策を万全にしていくということに尽きますが、今年はある意味、総決算、集大成の1年になってきますので、積み上げてきた3年間の取り組みを1つの形にしていく重...

2021年01月23日 13:47

【福岡県政インサイダー】データ・マックスの目は節穴、高島市長の脳裏には知事の道はない

 22日、「福岡県政インサイダー」コーナーに「小川知事ついに辞意表明か 後任に高島福岡市長」という記事を掲載したところ、そのわずか30分後に自民党福岡市議団の有力市会...

2021年01月23日 07:00

【長期連載】ベスト電器消滅への道(4)

 1953年9月創業のベスト電器は、当時メーカー優位の家電販売業界にあって、創業者の北田光男氏が辛酸を舐めながらも"安売り"を前面に押し出した販売手法で日本一の会社に...

2021年01月23日 07:00

【年頭所感】コロナ禍の逆風のなかで新たな挑戦、太宰府市をより住みよいまちに〜楠田大蔵市長(前)

 太宰府市は19年に令和の発表で注目をいただいた分、20年にはコロナの影響を非常に強く受け、その落差は日本一大きかったかもしれません。観光客数は4〜5月が前年同期比9...

2021年01月22日 17:18

進展しない第一生命の金融詐欺事件

   下表は第一生命保険(株)が2020年12月22日に発表した「元社員による金銭の不正取得」事案に関する報告の表題である(一部加筆および修正)。 ~この表...

2021年01月22日 16:43

【基山町】トラスト不動産開発と「まちづくりに関する協定」を締結~地方創生の新モデルを

 佐賀県基山町は、25日、トラスト不動産開発(株)と「まちづくりに関する協定」を締結する。トラスト不動産が基山町において18年ぶりとなる分譲マンションを建築することに...

2021年01月22日 16:06

自動運転、事故の責任は誰が負う? メーカーか、運転手か、それともAIか

 自動運転は、4月に「レベル3(条件付き運転自動化)」が解禁され、ホンダが高速道路での自動運転機能を搭載した乗用車を近く発売する予定で、ついに実用化されることになった...

2021年01月22日 15:30

激化する新型コロナ・ワクチンの開発競争:副作用の急増で問われる安全性(後)

 歴史を紐解けば、人類は8000年もの昔から感染症と向き合ってきた。エジプトのミイラからも天然痘の痕跡が発見され、14世紀のペストの流行によってヨーロッパでは人口の3...

2021年01月22日 15:12

【告発/大和ハウス】バイオガスプラント事業でずさん工事 プラント正常化を「投げ出し」の卑劣(1)

 大和ハウスと、福岡県糸島市の養豚農家の間にトラブルが起きている。にわかには信じられないずさんな工事の背景には何があるのか...

pagetop