2024年03月29日( 金 )

日々の交通の安全を守ることに責任感と使命感、そして誇りをもって臨む

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九信電設(株)

信号機の設置工事で福岡県内トップクラスの実績

新宮町の立花事務所
新宮町の立花事務所

 九信電設(株)は、他とは一線を画す「オンリーワン」な事業を手がける企業だ。官庁の仕事をメインとし、その仕事の中身は信号機工事、事故信号機復旧工事、公共建築付帯電気工事、次世代照明事業というから、いわゆる公共事業関連が主軸業務である。とくに福岡県警が発注する交通安全電気設備設置工事、つまり信号機の設置工事では福岡県内トップクラスの実績を誇り、信号機の灯器や制御器の設置、さらにはコンクリート柱の建て込みなどの土木工事を含めた信号機周辺案件の施工まで一手に請負っている。

 同社の創業は1973年、現会長の黒木善弘氏が創業。当初は主にパークロック式の駐車場システムの設置工事や保守業務を行っていたが、あるメーカーとの出会いをきっかけに交通信号機の分野に参入。同社の理念「誠実・謙虚・行動」に則った丁寧できめ細やかな仕事ぶりが評価され、自治体や公共工事を手がけるゼネコンなどとの関係が広がって今日に至る。

 歴史をたどってみれば、80年7月に(有)九信電設として法人化、そして90年10月に(株)化した。2019年1月には黒木善崇氏が、新代表取締役に就任した。40年の時を経て、また新たな幕が開いたところだ。

なくてはならない道路に関わることでその存在感がますます高まっていく

 同社の使命は、道路インフラの工事を通して日々の交通安全を守ることだ。信号機の新規設置以外にも事故や災害時の復旧作業を担い、ドライバーたちが安心して道路を走れるように日夜を問わず活躍する。18年7月の九州豪雨で、道路冠水や陥没などにより信号機の不具合が多発したことは記憶に新しい。この災害では、同社を含めた業界全体で即時の復旧作業にあたった。また、20年7月に記録的な豪雨に見舞われた大牟田市でも業界全体で復旧工事に取り組んだことで、改めて自分たちの仕事の重要性、そして責任を実感したばかりだ。

 災害から離れれば、18年3月に開通した国道3号線香椎バイパスの多々良中央西交差点~香椎バイパス北口間の新設信号灯設置工事や既設交差点の改良工事に関わっている。このエリアの渋滞が緩和されたことから、同社の仕事を身近に感じる方々も多いだろう。

 日本各地で大規模な自然災害が多発していることで誰もが不安を抱えている今日、インフラの整備と強化は、国が何より先行して取り組まなければならない重要課題だ。災害時の緊急車両の通行、救急救援物資を届ける輸送路として道路はなくてはならない。今後、同社を含めた業界全体の存在感がますます高まっていくことは必定だろう。

仕事に対しての誇りや喜び、励みを感じられる会社を目指す

復興作業の様子
復興作業の様子

 同社の社員たちが仕事と向き合っていくなかで、いちばん強く実感するのは、多くの人々の安全・安心を支えているという誇りとやりがいだろう。場合によっては人の命に関わってくることもあり得る。当然、気楽な仕事ではない。工事施工の現場では、災害時や故障・事故時対応のために出動していくだけでなく、いざことが起きても即座に対処できるように待機しておくことまで求められる。常に気は休まらないが、こうした努力が直接に人々の役に立っているという実感がある。得られる手応えも大きい。

 「当社の業務は、災害時や故障・事故時の対応のために、24時間気を引き締めていなければなりません。しかし社員が夜中も事務所に詰めているかというと、そういうわけではありません。自宅待機中の社員に携帯端末で連絡が入る仕組みを整えることで、彼らの負担軽減を図っています」(黒木氏)。

 同社の業務が圧倒的に他社と異なるのは、災害時や故障・事故時の即時復旧という社会的使命を帯びていることだ。どんな事態にも臨機応変に対応できるよう万全の体制を敷くが、そのために社員たちに必要以上の負担はかけない。

 「公共工事が主体ですからどうしても繁忙期と閑散期のバランスのとり方が課題になります。今年はとくにコロナ禍で一定期間の工事がストップしました。通年では予算消化されそうですが、今後は不透明です。当社には信号機工事で培った技術がありますので、それを活かすことを考えていく時期に入ってきたと思います」と、語る黒木氏。

 今後は先代が築いてきた基盤をさらに固め、時代の流れに沿った経営方針を打ち出していきたいという。どういった方向に舵を切るのか、今は見極めの時期だと捉えているようだ。今まで以上のクオリティーで施工を行うこと、世の中の動きに敏感なメーカーとの付き合いを深めること、そして情報収集に注力することで、新トップとしての新たな展開を模索する。

 とはいえ、基幹事業となっている信号機分野から大きく外れることは考えていないという。創業期から築き上げてきた信頼を確固たるものにし、さらに多くの工事実績を積み上げていくことが肝心だと手堅い。なかでも福岡県警からの信用は絶大だ。この基盤は決して揺るぐことはないだろう。また、社員らにとっても、今以上に仕事に対して誇りや喜び、励みなどを感じられるような、そんな会社を目指していくのだと心強い答えが返ってきた。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:黒木 善崇
所在地:福岡市東区千早1-35-11
設 立:1980年7月
資本金:2,000万円
TEL:092-671-5025
URL:http://www.kyushin.com


黒木 善崇 氏<プロフィール>
黒木 善崇
(くろき よしたか)
1971年3月、福岡市出身。東福岡高等学校、西南学院大学卒業後、北九州コカ・コーラボトリング(株)(現・コカ・コーラボトラーズジャパン(株))に入社。96年4月に九信電設(株)に入社し、2019年1月に代表取締役社長に就任した。

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