2024年04月20日( 土 )

安倍氏釈明非公開なら安住淳氏落選運動

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事を紹介する。今回は「立憲民主党国対委員長・安住淳氏が非公開の議院運営委員会理事会での安倍氏説明を容認するなら、次の衆院総選挙で安住淳氏を確実に落選させるべき」と訴えた12月21日付の記事を紹介する。


安倍首相が国会で完全虚偽の答弁を繰り返していた。
国会では安倍首相が関与するスキャンダルのオンパレードだった。
国会自体が安倍スキャンダルの総合商社の様相を示した。
森友、加計、桜のトリプル疑惑。

河井案里氏の参議院議員選挙の際には安倍事務所の要員が選挙活動を仕切っていたと伝えられている。
河井克行・案里夫妻は公職選挙法違反で起訴され、公判で審理が行われている。
さらに、安倍晋三氏自身が暴力団関係者に面会して選挙妨害を依頼したとの疑惑も存在する。

2017年2月17日の衆院予算委員会で福島伸亨衆議院議員の質問に対して、安倍晋三氏が、
「いずれにいたしましても、繰り返して申し上げますが、私も妻も一切、この認可にもあるいは国有地の払い下げにも関係ないわけでありまして、(中略)私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい」
と答弁して以来、国会審議の大半は安倍スキャンダルに充当されてきたと言っても過言でない。

すべての疑惑は、いまなおまったく解消されていない。

このなかで、いまから1年余り前の2019年11月の参院予算委員会で日本共産党の田村智子議員が桜疑惑について問いただした。
政府主催行事の「桜を見る会」に安倍首相が後援会関係者を多数招待しているのではないかと追及したのだ。
これを契機に桜疑惑も一気に拡大した。

政府主催行事であるにもかかわらず、安倍首相が自分自身の後援会関係者を多数招待していることが判明した。
後援会関係者は大挙して上京し、桜を見る会の前夜には、全日空ホテルやホテルニューオータニで大規模な前夜祭が開催されていた。
その前夜祭の参加費が1人5,000円であることが明らかになり、常識をかけ離れた低価格にも疑問が集まった。

国会答弁で安倍首相は
前夜祭について安倍事務所が関与していないこと
前夜祭の契約は参加者各個人とホテルとの契約によるもので、安倍事務所は無関係であること
参加費はそのままホテルに手渡され、ホテルから個々の参加者に領収書が手交された
安倍事務所とホテルとの間では見積書の交付も請求書、領収書等のやり取りも一切なかった
ことなどを繰り返し説明した。

ところが、これらの安倍晋三氏の国会答弁がすべて真っ赤なウソだったことが判明した。

ホテルと契約したのは安倍晋三氏が代表を務める政治資金管理団体の「晋和会」だった。
前夜祭に参加した後援会関係者が1人5,000円の会費を支払い、後援会の収入、支出は一切ないという、安倍氏の説明は虚偽で、安倍氏側が毎年200万円前後を補てんしていたこと、ホテルは後援会でなく安倍氏の資金管理団体である「晋和会」に領収書を出していたことなどが検察の捜査で判明した。

東京地検特捜部は安倍氏の公設第1秘書で後援会代表の配川博之氏らから事情聴取をしており、年内にも政治資金規正法違反の罪で略式起訴する方針だと伝えられている。

「晋和会」の責任者である安倍晋三氏は違法行為について認識していなかったことにして、秘書が略式起訴され、安倍晋三氏は不起訴になると報じられている。
その安倍晋三氏を国会に招致することが検討されていることも報じられている。

重大な犯罪が秘書の略式起訴、責任者の無罪放免、かたちばかりの国会での陳述で済まそうというストーリーが公然と流布されている。
こんな国民を愚弄する決着が許されてよいわけがない。

まず注目しなければならないのは立憲民主党の対応だ。
いつものように国対委員長・安住淳氏が登場している。

安住淳氏は12月18日、
「総理を辞めて3カ月後に東京地検特捜部の捜査対象になっている。虚偽答弁がずっと残ることになったら、憲政史上の汚点だ」
としたうえで、
「責任の重さを考えれば、今年中に実現するのが当然のこと」
「最低限、国民の皆さんが生でその一挙手一投足を見られるかたちにしなかったら国会に来る意味がない」
と発言した。

「いうだけ番長」とならぬよう、安倍晋三氏の予算委員会への招致が最低限必要だ。
安住氏がいつものように森山裕自民党国対委員長の言いなりにならないか、監視が必要だ。

国会は国権の最高機関。
その国会で嘘八百を並べ立てることは、主権者である国民に対する冒涜行為。

桜を見る会に私的な後援会関係者を一体何人招いていたのか。
桜を見る会への招待状を使って巨大な詐欺事件が引き起こされてきたことも明らかにされている。

桜を見る会で参加者に利益が供与されていた。
政府公式行事を完全に私物化していたものだ。
選挙区の有権者への利益供与は寄附行為にあたり、公職選挙法に抵触する。

しかも、安倍晋三氏の資金管理団体は収支報告書に前夜祭の収支を記載していなかった。
虚偽記載にあたり政治資金規正法に抵触する。

いずれも重大な犯罪行為に該当する恐れが高い。

09年3月と10年1月に小沢一郎氏の秘書が突然逮捕された。
いずれも政治資金収支報告書への虚偽記載容疑だった。

09年3月3日の秘書逮捕は、西松建設関連の政治団体である未来産業研究会、新政治問題研究会からの寄附を事実通りに政治資金収支報告書に記載して提出したことが「虚偽記載」にあたるとされた。
しかし、小沢一郎氏の資金管理団体による収支報告は事実をそのまま記載してもので、完全な合法措置だった。

完全な冤罪事案、不当逮捕だった。
まったく同じ事務手続きを行った政治家資金管理団体が10以上存在した。

二階俊博氏の資金管理団体も同じ手続きをしていた。
ところが、麻生内閣の漆間巌官房副長官は、事件捜査は自民党議員に波及しないと明言した。
残念ながら、これが日本の検察の実態なのだ。

私は09年1月16日付ブログ記事「手段を選ばぬ「悪徳ペンタゴン」次の一手」に

検察当局が西松建設の裏金疑惑解明に動き出した。「悪徳ペンタゴン」による政権交代阻止活動の一環としての行動であるとの見方が存在する。
日本の政治を「悪徳ペンタゴン」から「一般国民の手」に取り戻す、千載一遇のチャンスである。「悪徳ペンタゴン」はあらゆる手段を用いて、本格的政権交代阻止に全力を尽くすと考えられる。あらゆる工作活動の本質を洞察して粉砕(ふんさい)し、本格政権交代を成し遂げなければならない。

と記述した。
警告通りの不当な人物破壊工作が実行されたのだ。

10年1月15日の小沢氏秘書逮捕は、04年10月に代金決済が行われ、05年に移転登記が完了した世田谷区所在不動産の取得にかかる収支報告が05年収支報告書で行われたことが「虚偽記載」にあたるとされた事案だった。

公判において商法と会計学の専門家が、小沢事務所の収支報告がもっとも正しい事務処理であったと証言した。
事実を事実通りに記載して収支報告書を提出した行為が政治資金規正法の虚偽記載に当たるとして、野党代表の秘書が突然逮捕された。
小沢一郎氏自身も検察による捜査報告書ねつ造によって強制起訴された。

安倍晋三氏に対する対応をこの事案と比較して考えるべきだ。
秘書を略式起訴で処理することはあり得ない。
裁判所は略式を不当であるとして正式な裁判を開くことを決定しなければならない。

安倍氏が説明責任を負うのは国会議員に対してではない。
主権者である国民に対する説明責任を負っている。

非公開の議院運営委員会の理事会で安倍氏が説明しても問題の解決にはならない。
いきなり証人喚問を行わなくとも、少なくとも予算委員会で国民に対して丁寧な説明をさせる必要がある。
その手続きを確保するのが野党の責務だ。

立憲民主党国対委員長・安住淳氏が
「最低限、国民の皆さんが生でその一挙手一投足を見られるかたちにしなかったら国会に来る意味がない」
と発言しながら、非公開の議院運営委員会理事会での安倍氏説明を容認するなら、次の衆院総選挙で安住淳氏を確実に落選させなければならない。


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植草一秀の『知られざる真実』

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