2022年05月26日( 木 )
by データ・マックス

第一生命の保険金詐欺(8)~新たに不正が発覚し社員3名を懲戒解雇

 第一生命保険は22日、「『元社員による金銭の不正取得』事案に関するご報告」を20ページにわたり公表した。

「元社員による金銭の不正取得」事案に関するご報告(PDF)

 【表1】を見ていただきたい。社員の不正取引による被害額の推移表である。
~この表から見えるもの~
◆山口県事案は既報の通り、24名の顧客に対して19億5,100万円の金融詐欺事件を起こし刑事告発されている正下文子元特別調査役である。
◆10月30日に公表した和歌山事案に加え、新たに福岡県・神奈川県・事務部門の社員3人の金銭不正取得が見つかったと発表した。
・第一生命は、金銭不正取得のあった3人をともに懲戒解雇しており、新たな被害額は約6,598万円。さらにほかの被害がないか、約800万人の全契約者に今後、確かめることも公表。販売力の源泉である営業社員による相次ぐ不正の発覚は、同社の管理体制だけでなく、社員の意識や企業文化にも問題があったと思われ、組織の抜本的な立て直しが求められているといえよう。

▲クリックで拡大▲

 【表2】を見ていただきたい。第一生命ホールディングス(株)の経営成績推移表である。
~2020年9月(中間)期決算から見えるもの~
◆売上高に当たる経常収益は前期比▲2,930億2,900万円の3兆3,631億5,900万円(前期比▲8.0%)と減少している。
・19年9月期は前期比+592億2,300万円(前期比+1.6%)。
◆経常利益は前期比▲308億8,600万円の1,628億3,800万円(前期比▲15.9%)と大きく減少している。
・19年9月期も前期比▲225億5,800万円(前期比▲10.4%)と10%台のマイナスとなっている。
◆親会社に帰属する当期純利益は前期比▲84億6,500万円(前期比▲9.2%)。
・19年9月期は前期比▲245億4,000万円(前期比▲21.1%)と大幅な下落。18年9月期も前期比▲120億3,300万円(前期比▲9.4%)と3期連続の減少となっており、相対的に厳しい経営環境となっているのが、読み取れる。
~20年3月期までの通期決算から見えるもの~
◆20年3月期の経常収益は前期比▲699億9,400万円の7兆1,140億9,900万円(前期比▲1.0%)とわずかな減少。
◆20年3月期の経常利益は前期比▲2,145億6,500万円の2,183億8,000万円(前期比▲49.6%)と、ほぼ半減している。
◆20年3月期の当期純利益は前期比▲1,926億200万円の324億3,300万円(前期比▲85.6%)と8割を超える大幅な減益。19年3月期も前期比▲1,388億9,300万円(前期比▲38.2%)と大幅な下落となっている。
~21年3月期の通期決算(予想)から見えるもの~
◆経常収益は前期比▲6,270億9,900万円の6兆4,870億円(前期比▲8.8%)と大幅な減少予想。
◆経常利益は前期比+1,396億2,000万円の3,580億円(前期比+63.9%)と大幅な増加予想。
◆当期純利益も前期比+1,515億6,700万円の1,840億円(前期比+467.3%)と、経常収益の大幅な減少にもかかわらず大幅な増加予想となっている。

▲クリックで拡大▲

<まとめ>
 第一生命の21年3月期の当期純利益は前期比+1,515億6,700万円の1,840億円(前期比+467.3%)と大幅な増益予想となっている。一方、新たに発生した3件を含め不正事件による被害総額は約20億7,690万円であり、11.3%に過ぎない。

 今後の調査により増加することも予想されるが、株主も不正事件を円満に解決することを第一生命に求めていると推測される。また800万人におよぶ契約者も安心して取引を継続することができる。今こそ、被害者全員に対して、思い切って全額を補償する良い機会なのではないだろうか。

(つづく)

【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

(7)
(9)

関連記事