2022年05月24日( 火 )
by データ・マックス

第一生命19億円詐欺事件の闇(3)~第一生命の杜撰な体質と正下文子

 当サイトにて連載する、第一生命保険西日本マーケット統括部徳山分室(山口県周南市)を舞台にした架空金融詐欺事件では、当時80代の元営業社員(元特別調査役)の正下文子が、架空の金融取引を顧客にもちかけて不正に資金を集めていた。判明した被害総額は、約19億円。
 当事者である正下の動向に注目が集まるなか、「私もある意味だまされました」と名乗り出た、関西地方在住の第一生命契約者に取材を行った。

 今回取材を受けてくれた女性Aと正下の長女・吉田美智子の交流が始まったのは、約12年前のことだ。生命保険などの契約を通じて、公私とも穏やかな交流を深めていた。加えて、吉田は女性Aの親族からも保険の契約を享受し、契約後も何事もなく交流を続けてきた。

 Aは、吉田と共通の知人から「第一生命の正下文子が、詐欺容疑で大ごとになっている」と一報を受けた。Aは、「正下さんの件を聞いて、驚きましたね。業界大手の第一生命のほうが、顧客から多額の資金を騙し取っているとは…私は吉田さんと共通の知人から、詐欺の一件を知らされるまで、まったく知りませんでした。吉田さんも、いつも変わらぬ態度や言動であったので…」と語る。

 Aは、正下とは1度だけ直接、会ったことがある。正下と吉田の親族のお世話を行ったときに、顔を合わせたのだ。Aは正下について、「さっそうとした身なりで、堂々とされておりました。言葉遣いが大変丁寧であり、印象は良かったですね。挨拶した程度であったため、人となりまではわかりませんが、存在感はありました」と語る。

 続けて、「挨拶だけでしたが、吉田さんから『私の母です』と紹介されて、覚えておりました。お会いしたときは、正下さんがどんなお仕事や活動をされているのかは、知りませんでした」といった。

 Aは後日、正下が吉田と同じ第一生命に勤務していることを聞かされたという。「正下さんについて、とくに関心はありませんでした。あくまでも吉田さんとのお付き合いであり、最初の契約も、吉田さんが強く勧めることではなく、私が彼女のお人柄を見て、自ら契約することにしたのです。本当に残念ですね」。

 Aは今回の詐欺事件について、以下のように語った。

「私は直接、詐欺にあったわけではなく、被害はありません。吉田さんが母の正下さんの詐欺に加担していることもないでしょう。

 しかし、正下さんは、89歳であり、定年後も続けて勤務していました。加えて、第一生命が特別調査役という肩書きをもたせて、周南市のオフィス内の支店長室の横に個室をあてがうなど、正下さんを優遇し続けてきたのですよね。

 社会通念上、90歳近い方が現役で勤務することはあまり聞きません。加えて、そのほうが社内で大きな力をもっていることなど、あり得ないことではないでしょうか。営業成績が優秀であったとしても、特別調査役という社内でただ1人のポストをつくり、据えますか。客観的に見て、第一生命の体質に問題があるのではないでしょうか。

 聞いた話のため確証はありませんが、正下さんは最高で1億円の年収があったと耳にしています。優秀であったため、さお稼がれたのでしょう。加えて、山口銀行元頭取の田中耕三氏の後ろ盾があったとも聞いております。第一生命は、正下さんに忖度してしまっていたのではないでしょうか。ある契約者が今年3月に第一生命に対して、正下さんに関する問い合わせの連絡を入れました。何か不信なことがあったのでしょう。しかし、第一生命は、『調査したがわからない』と回答したとのことです。不誠実ですね」

 女性Aは、このように第一生命に対しても、大きな不信感を抱いていたのだ。

(つづく)

【河原 清明】

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