2022年05月24日( 火 )
by データ・マックス

第一生命19億円詐欺事件の闇(8)~卓越した生命保険・金融プロフェッショナルの世界組織MDRTとは?

 当サイトにて連載する、第一生命保険西日本マーケット統括部徳山分室(山口県周南市)を舞台にした架空金融詐欺事件では、当時80代の元営業社員(元特別調査役)の正下文子が、架空の金融取引を顧客にもちかけて不正に資金を集めていた。判明した被害総額は、約19億円。
 当事者である正下の動向に注目が集まるなか、「私もある意味だまされました」と名乗り出た、関西地方在住の第一生命契約者に取材を行った。

 第一生命の保険の契約者である女性Aは、担当者であった正下文子の長女・吉田美智子が電話で以下のように話したことを回想し、憤っている。

「吉田さんは、『被害額は報道で発表されている19億5,000万円より少ない』とはっきり私に言いましたが、そのようなことはないでしょう。その金額に関しては、これから解明されるでしょう。他方、吉田さんは『被害額が少ない』とはっきりと言ったため、正下さんが詐欺を実行したのを改めて認めたことになります。

 第一生命の保険の契約者である私に向かって、『被害額は報道より少ないの…』とよくいえたものですよ。正下さんは19億円という、とてつもなく大きな金額の詐欺を、1人で行えたかについては、はなはだ疑問ですね。刑事罰でもって、正下さんには残りの人生を償ってもらいたいです。正下さんは、見た目は上品で対応は洗練されていますが、人の心を利用して詐欺をする人であるとは思いもよりませんでした。恐ろしい人です」

 女性Aは、「吉田はMDRT(Million Dollar Round Table、卓越した生命保険・金融プロフェッショナルの組織)のメンバーです。もちろん、母親(正下さん)もメンバーです。金融業界の優れた人が、MDRTに選ばれて入れるようですね。正下さんはMDRTも詐欺に利用していたのでしょうか」と言った。

 MDRTは、(一社) MDRT日本会が運営している組織だ。MDRT日本会については、同会のホームページに下記のとおり明言されている。

 70年「保険セールスの神様」と言われた故・原一平氏が設立。毎年MDRTの厳しい入会基準を満たし、承認されたものだけに会員の資格が与えられます。現在、6,310名(2020年3月18日現在)が日本会に加入しています。MDRTの倫理綱領・目的に基づき業界のリーダーとして、顧客のために最善の商品(プラン)・知識・情報などを提供しています。

 近年では、各社ごとの分会活動に加え、地域ごとに構成するブロックの活動も盛んになり、独自の研修会やボランティア活動が展開・定着してまいりました。また日本会でも年々「ホール・パーソン」の理念が広まり、バランスのとれた人生を送ることもMDRT会員にとって非常に重要な要素であるという考えが浸透しつつあります。

 上記の説明から、MDRTのメンバーには、生命保険と金融の真のプロフェッショナルという高い権威があることがわかる。国内の6,310名のMDRTメンバー(20年3月18日現在)のなかで、第一生命では正下・吉田を含む187名が名を連ねている。

 正下は、MDRTという「最高の権威」、言いかえると生命保険と金融のプロという名を有しながら、詐欺に手を染めた。MDRTも詐欺のために利用したのだろうか。もしそうであれば、MDRT自体の価値を下げることとなる。つまり、生命保険と金融サービス専門家7万2,000名以上が所属するグローバルな独立組織、世界で70カ国に広がる、日々活躍する企業500社とその人物に対する冒涜になる。

 正下と吉田、第一生命は、「MDRT会員は卓越した商品知識をもち、厳しい倫理基準を満たし、優れた顧客サービスを提供しています」と基準を掲げていることに対して、現在どのような心境なのであろうか。世界中のMDRT会員に対しても、頭を下げるべきではないか。

(つづく)

【河原 清明】

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