2024年04月26日( 金 )

2020年振り返って~地球滅亡への序章か、再生への可能性は(4)「世界の覇者」人類が人工知能に負け転落する日

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もうAIに負けている

 人類の能力がAIを代表する人工知能に負ける日を『シンギュラリティ』と言うそうである。いつ到達するのか。一時は「2045年」説が高まったが、現在では「2029年」説も流布されだした。

 確かにAIに頼った判断を下す事例を耳にするようになった。「AIの集計によると今後、コロナ感染者数は1日、4,000人を突破する勢いです」といったような予測を流す。まさしく「AIさまさま」である。一部では「人類はすでにAIに負けている」と評価する向きもある。

 専門家の言葉を引用すると「人工知能が自らを改良し、人工知能が人工知能を生みだすことを可能にし、事実上、人工知能の開発が人類の手から離れてしまう」という表現となる(この表現が現実のものとなったとき『シンギュラリティ』到来と呼ぶ)。

 人工知能がひとり歩きを始めたならば、その世界を「人工知能独裁政権」とでも呼んだほうがいいのだろうか!「世界の覇者」人類が人工知能に負けて転落する日は間近である。

業務改善には便利、IT・AIの活用

 コロナ襲来によって仕事の仕方や、生活スタイルが様変わりした。まずはこの5年間ほどはITの初歩的活用で、業務を効率化できるようになった。弊社でいえば校正ソフトの活用による誤りの防止、校正のスピードアップなどだ。まだまだ十分なレベルにはないが、今まで以上に校正ソフトの能力が上がれば、編集・校正作業の効率化が大幅に進むのは間違いないだろう。

 コロナ襲来によるリモートワーク拡大はオフィススペースを減少させる。オンライン会議によって移動時間がなくなる。裏を返せば交通機関の利用者が減る。オンライン授業が主流になると大学の授業料を高く取れなくなり、私学の経営を厳しくさせる要因ともなる。来年からはオンライン診療を大胆に推進させる政策が実施される。こうなると「診療医師」と「労働医師」という階層の分離が始まる。身分の安定が危うくなるということだ。

利用者には便利、一方では人減らし・所得減というマイナス面も

 さらにAI診療が進化すれば、医療の世界でも外科医師など専門的な技術を要する診療科以外では医者と看護師の違いは何(?)ということになるのではないかと想像できる。医師免許を得たからといっても一生、最低年収2,000万円台を確保するのは危うくなるのではないか。弁護士などの士業においても永続的に安定した収入を得られなくなるかもしれない。

 上記のようにAI・ITのさらなる進化は生活者(利用者)には利便性を与え、逆に労働者(稼ぎ手)を不便・不安にさせる負の作用を生じさせる。これが極端な発展を遂げると人類の根源的な尊厳まで抹殺されることになる。それについては後述する。

 少額の買い物でも配達が常識となる時代が到来した。「老人保護策」ならわかるが、お客様へのサービスの極限である「おもてなし」がマイナスとなる面はないのか!配達員は「アマゾンの配達が多くて忙しい。効率よく配達しないと賄いきれない」と語る。

 アマゾンは全国に巨大な倉庫を有している。倉庫で働く労働者は1日数10キロ歩く過酷な労働環境だといわれる。だが、アマゾンもその状態を野放しにはしない。ロボット稼働の投資を行い、近々、無人化した物量倉庫を登場させるだろう。そうなるとアマゾンの物流倉庫からの採用が大幅に減る。

 コンビニも労働環境の改善に着手しており、無人化店舗の運営が近々始まるだろう。そうなると留学生・日本語学校の学生たちの仕事場が減っていく。このようにAI・ITの進化は利用者にはメリットを与え、稼ぎ手にはデメリットを与える対照的な役割を担う。

貪欲な企業の果て、研究に一心不乱の研究者の果て

 Googleがアメリカ政府や各州から独占禁止法で訴えられている。ユーザーには至極、生活利便。その裏側でGoogleは強固なビジネスルールを確立している。

 ここにアメリカ合衆国がメスを入れている(脱税摘発の狙いもある)。アリババへの習独裁政権の関与も同様である(狙いの違いはあるが――)。要は国家権力を超えた貪欲な企業には査察が入り、その結果、企業解体が強行されるのである。

 遺伝子解明が行われた。幹細胞再生の研究が進化した。これらの研究をする学者たちは『人類の生命の謎を解明させて長寿実現に貢献する』という使命感のもと、研究に一心不乱に没頭してきた。ところがビジネスレベルになると矛盾が歴然としてくる。確かに人間は容易に死ななくなった。不老長寿の処置を受けられる資格者の大半はリッチ層ということになる。また100歳、110歳まで長生きする価値のある方なのかという評価・論争も激化する(自前の資金で長寿を画策するのは個人領域のこと)。

 研究の結果、戦争においてもテロにおいても多くの被害者を生みだす。「自分たちの陣営の被害をゼロにする武器はどうして研究すればよいか!」と24時間、頭を使っている「研究馬鹿たち」による大量破壊兵器の開発は続くだろう。

 『シンギュラリティ』時代の概略構想はこうではないか!(1)最優秀の人類か、または人類を超えた人工知能による独裁国家が誕生する。(2)支配者・またその体制持続に貢献できる知能がある3割の人類が働く社会。(3)残りの7割はベーシックインカムで生活する層。

 労働から解放されて自己の個性を発揮できるのは個人の努力次第(おそらく大半の方々は漫然と過ごすものと予感している)。(1)~(3)の未来を予測しているが、果たして日本国家・日本人類が予測する社会に到達できるかどうかは定かではない。

(1)

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