2024年04月16日( 火 )

東福岡高校の明暗~全国ラグビーフットボール大会と全国サッカー選手権大会

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 地元・福岡県代表として、第100回全国高等学校ラグビーフットボール大会と第99回全国高校サッカー選手権大会に出場の東福岡高校。ラグビー、サッカーともに誰もが認める国内有数の強豪校として名高い。どちら両校とも全国制覇の経験があり、黄金時代を築いた歴史がある。

 1月3日、ラグビー、サッカーともに東福岡高校が登場した。ラグビーはベスト8、サッカーはベスト16。試合の結果、ラグビーは21−21の引き分け、抽選でベスト4進出。サッカーは0-0、PK戦1-3で敗退。まさに明暗がわかれた1日となった。

 ラグビーは、大阪代表の東海大大阪仰星高校と対戦。東海大大阪は東福岡と同様にシード校で、優勝候補の一角に名を連ねていた。専門家の間でも論評が二分するほど両校は実力伯仲であり、事実上の決勝戦といえるほど、もっとも注目を集めたカードとなった。

 東海大大阪は、前の2試合で2トライのみに抑える優れた組織と個人の守備能力が高い。一方、東福岡は前回の石見智翠館高校戦で、終了直前での逆転勝利という厳しい戦いを経験。

 注目の一戦は、両校とも互いに強固な守備が冴え渡り、双方1トライ1ゴールで前半終了。後半開始そうそうから東福岡がフォワードとバックスが一体となった攻撃を開始。36分にトライを決めた後、37分に連続トライ。どちらもゴールも決めて21-7のスコア。だが「好事魔多し」。東福岡の中心選手である坂本公平が負傷退場し、試合の流れが一転して東海大大阪ペースに。東海大大阪は45分、51分に連続トライ(ゴールも成功)で21-21のイーブンとなった。

 その後は両校とも高いレベルの攻守を披露し続けるも、得点ならずノーサイド。ドローの場合は抽選によって次戦出場権が決められる。その結果、東福岡が進出した。

 後半は18分のロスタイムが続く死闘となった。両校の高いレベルの個人・チームの技能が存分に発揮された一戦で、高校ラグビー、いや日本ラグビー史に後世まで語り継がれる名勝負となった。専門的な目線で述べると、54分に東福岡は相手陣地の左10〜22m間付近でペナルティーを得た。ペナルティーキックによる3得点で残り時間をディフェンシブという戦術であったとみられる。

 タラレバの話は避けるべきだが、あえて述べると、東福岡はタッチラインに蹴り出し、ラインアウトを起点にした攻撃を仕掛けていたならば…。ベスト4で対戦する京都成章高校は、4試合でトライ献上はわずか1つという東海大大阪よりもさらに堅守である。攻撃も同等のレベル。東福岡は、フィールドを最大限活用する積極的な攻撃を想定した戦術で、京都成章の堅守に挑戦することを期待したい。

 サッカーは、栃木県代表の矢板中央高校と対戦。90分間果敢な攻撃でゴールを狙うも、矢板中央の堅守を崩すことができなかった。矢板中央はもともと堅守速攻の戦術を主流としていたなか、より徹底した守備陣形を保ちながら、守り抜いた。矢板中央の戦術の浸透度とスカウティングが勝利を呼び込んだ。東福岡はハイレベルな個人技にやや依存しすぎた感があった。

【河原 清明】

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