伊都国の歴史に見る糸島半島の今昔(後)
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小さな都市「世界3位」
糸島半島の糸島市側では、福岡市内との交通アクセス向上に向けた整備が進んでいる。19年1月には国道202号バイパス・有田中央交差点~真方交差点間が開通。これにより同バイパスが全線開通となり、福岡市~糸島市間の車による通勤や観光、運送における移動負担が大幅に軽減された。また、同年3月にはJRとして64番目の新駅となる「糸島高校前駅」が開業。同駅を最寄り駅とする新興住宅地「コットンヒルズ伊都の杜」(全212区画)をはじめ、近隣の新築マンションや商業施設(「クレアホームズ糸島・ザ・レジデンス」や「Hotel AZ福岡糸島店」など)にとっては、生活利便性の向上に加え、“駅近”という付加価値の獲得に寄与している。
糸島半島で進む諸々の取り組みが、福岡市都市部との「商流」「物流」「金流」を加速させた。糸島市や、同市内に拠点を構える企業による積極的な情報発信は、SNSを介して拡散され、定住人口の増加に貢献した。リモートワークが今後さらに定着していけば、移住希望者にとって“糸島暮らし”は、より現実的な選択肢になるだろう。
産官学の連携によって築き上げられた「糸島」という地域ブランドは、今や日本国内にとどまらず、世界からも注目を集めつつある。ビジネスマンや起業家をターゲットにした英・情報誌「MONOCLE(モノクル)」が発表している、人口25万人未満のまちを対象とした「輝く小さな街(Bright lights, small city)」の21年ランキングでは、糸島市が世界3位に選出された。豊かな自然環境に恵まれていながらも、福岡市に隣接していることで都市生活の利便性も享受しやすいなどの多面性によって“生活の質が優れている”という点がとくに評価された。
「海路」「陸路」「情報網」という多岐にわたるチャネルを集約させられるだけの、話題性に富んだ都市計画の立案と実行力、そして地域性を前面に打ち出した魅力ある商品やサービスの拡充など、あらゆるものが連鎖的に拡大するという好循環を生み出せている糸島半島。現状の勢いからは、かつての倭国における対外交流の中枢機能を担った伊都国の“再興”を予感させられる。
(了)
【代 源太朗】
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