進展しない第一生命の金融詐欺事件
下表は第一生命保険(株)が2020年12月22日に発表した「元社員による金銭の不正取得」事案に関する報告の表題である(一部加筆および修正)。
~この表から見えるもの~
◆第一生命は昨年10月2日、西日本マーケット統括部徳山分室(山口県周南市)に勤務していた特別調査役が、客に架空の金融取引をもちかけて不正に資金を集めていたと発表。同社はその特別調査役を同7月3日に懲戒解雇し、山口県警周南署に詐欺容疑で刑事告発。その特別調査役とは、筆者著の『実録 頭取交替』(講談社)に登場する第五生命の山上正代であり、本名は正下文子元特別調査役である。
◆「5.責任・処分」については、「然るべきタイミングで関係者の処分を実施し公表いたします」としているが、懲戒解雇から7カ月を過ぎているのに、今も処分していないのは怠慢ではないだろうか。
2020 年 12 月 22 日
第一生命保険(株)
「元社員による金銭の不正取得」事案に関するご報告
資料構成
1.はじめに
2.元「特別調査役」(山口県)事案に係る状況
(1) 被害調査の結果・被害者対応状況 など
(2) 発生原因分析(全体像)
3.その他の発生事案に係る状況
(1) 事案の概要
(2) 発生原因分析
4.再発防止策
(1) 発生原因分析を踏まえた対応策
(2) 「経営品質刷新プロジェクト」
5.責任・処分 然るべきタイミングで関係者の処分を実施し公表いたします。
以上
【表2】を見ていただきたい。第一生命は、正下元特別調査役の金融詐欺事件の調査の過程で発覚した不正事件を11月9日に発表。山口県事案を含め、総額20億7,690万円となっている。新年に入った昨21日、第一生命に問い合わせると新たな事案は発生していないとの回答を受けた。
<まとめ>
2億円近く被害を受けて第一生命を相手取り提訴している被害者A氏にその後の状況を問い合わせると、「全然進展していない」との回答があった。
金融詐欺を放置した第一生命の責任は重い。第一生命の担当者に「裁判ではなく、全額補償した方が第一生命のためでないか」と水を向けると、「個人的にはそうしたほうが良いと思う」との回答があった。いずれにせよ、正下元特別調査役の保険勧誘に積極的に協力し金融詐欺事件を誘発した(株)山口銀行の責任は、さらに重いものがあるのではないだろうか。
【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】