2022年01月18日( 火 )
by データ・マックス

第一生命の金融詐欺事件(2)~燭光が見え始めた全額補填

 【資料1】を見ていただきたい。2月4日、第一生命被害者弁護団から送付されてきた「第一生命および被害者らの第1回調停期日のご報告」である。

~調停期日報告までの経緯について~
◆第一生命は2020年10月2日、第一生命西日本マーケット統括部(福岡市)の徳山分室(山口県周南市)の元営業職員による巨額詐欺事件を発表。元営業職員とは筆者著書の『実録 頭取交替』に登場する第五生命の山上正代。本名は正下文子である。正下文子元特別調査役による金融詐欺事件の被害者は24人、総額19億5,100万円。
・それを受け、被害者A、Bが昨年12月4日、被害者Dが同17日、第一生命に対して調停を申し立てたことから3件の調停が併合され、2月4日、第1回目の調停が東京地裁で開催された。
◆この日、正下文子元特別調査役に生命保険金をだまし取られた被害者Aが出廷し、「元営業職員に詐取された生命保険金は、被害者の母が娘を想う親心から、人生をかけて必死に残してくれたもの」であることや、「第一生命が恒常的に元営業職員を特別扱いし、しかるべき監督を怠り続けたことで事件が起きた」ことなどを述べ、「この疲弊し、悲しみや憤りを抱えたままの状態から1日も早く解放していただきたく、第一生命に対し、即時全額一括賠償の調停案をお示し下さい」と調停委員会(裁判官)に訴えた。
◆被害者弁護団も、「第一生命の重大な注意義務懈怠(けたい)が被害を生んだものであり、ただちに全額補填すべきである」などと強く主張した。

~今後の見通しについて~
◆第2回の調停期日は4月8日に予定されており、調停委員会の解決案が提示される見込み。被害者弁護団は「本件は、それぞれの事実関係については争いのない事案だ。遅くとも次回期日において、第一生命が全額一括の返済をなすとの調停勧告を出していただきたい」(東京共同法律事務所の猿田佐世弁護士)と訴えている。
◆今回の巨額詐欺事件をめぐって第一生命は、被害者に対して返済されていない金額の3割を先行弁済(補償)するとしている。3割を超える部分の弁済については、被害者が利息を受け取っているケースもあり、実際の被害額の算出が難しいことから、裁判所の調停制度を利用して第三者による判断を求めていた。
・第一生命は被害者への弁済について、「今後も調停の場で真摯に話し合いに応じていきたい。調停委員会の意見は最大限尊重したい」(広報部)と述べている。
◆第一生命は徳山分室以外に、【表1】のとおり、複数の元社員らによる不正事案(詐欺事件)が新たに4件発生したと公表。今回調停で審議されている事案を含めて被害総額は約20億7,690万円、被害者は55人と第一生命1社。
◆第一生命は現在、新たな調査を以下のように進めている。
(1)保険の加入者が利用できる契約者貸し付けの利用者などを中心に、金融詐欺の類似事例がないかどうかの確認作業に着手している。この調査は21年3月末には終える見込み。
(2)個人保険・個人年金保険の全契約者約800万人を対象にした調査を早期に開始し、「2022年3月までには全契約者の確認を終わらせたい」(広報部)としている。

~まとめ~
 巨額詐取事件の全貌の解明は、上記のスケジュールでは時間がかかりすぎる。被害者の多くは高齢者が多いため、第一生命は(2)を分離して、(1)の21年3月末の調査終了時の累計を調停事案として、一刻も早く被害額全額を補填すべきではないだろうか。

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【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

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