2022年05月27日( 金 )
by データ・マックス

第一生命の金融詐欺事件(3)~役員の報酬減額を発表

 第一生命は昨年10月30日、【表1】の通り、正下文子元特別調査役の金融詐欺事件を受けて社内調査を実施。新たに4件の金融詐欺事案を追加発表していた。
 筆者は2月10日に「第一生命の金融詐欺事件(2)~燭光が見え始めた全額補填」を掲載し、
まとめで「21年3月末の調査終了時の累計を調停事案として、一刻も早く被害額全額を補填すべきではないだろうか」と結んでいた。
 あたかもそれを受けたかのように、2日後の12日、第一生命は以下の通り、「役員の報酬減額」を発表した。

~この発表から見えるもの~
◆第一生命の渡辺光一郎会長と稲垣精二社長は3月から3カ月間、月額報酬の50%を自主返納する。
◆営業部門(業務部・西日本マーケット統括部・業務企画部)では第一生命HDの櫻井謙二取締役副社長執行役員と第一生命の役員8人も同期間、月額報酬を3段階(10%・20%・30%)に分けて減額する。
・さらに両社の執行役員以上の43人を対象に7月から1年間、業績連動で払われる報酬を一律で1割減らす。元社員の管理や社内のコンプライアンス部門などにかかわる第一生命の常務執行役員2人は減給、別の役員3人は戒告。また役員以外の従業員2人も懲戒処分した。
・コンプライアンス統括部の役員も同期間、月額報酬を15%減額するとしている。

<まとめ>
 第一生命は昨年12月22日、正下文子特別調査役による金融詐欺事件の被害者は24人、被害額は約19億5,100万円。また調査を実施した結果、新たに複数の元社員らによる不正事案(詐欺事件)が発生したことを発表。その被害額は1億2,590万円。しかし事務部門事案の5,230万円は社員による使い込みであり、被害者は第一生命であることから、これを差し引きすると個人の被害者は31人で、被害額は7,360万円。
 正下文子元特別調査役による山口県事案と新規の3件(和歌山県事案・福岡県事案・神奈川県事案)を加えた個人の被害者合計は55名で、被害総額は約20億7,690万円。
 稲垣社長は同日の記者会見で、『「保険契約の信頼を揺るがす重い事案と認識している。企業風土や体質に問題があった」と陳謝し、今年度中に処分を公表する』と説明していたが、それから1カ月半余り経った2月12日、関係役員の報酬減額を発表。これはひとえに、役員の報酬減額により株主対策はクリアできると判断したものと推察され、この発表こそ、被害弁護団および被害者が待ち続けた、「被害者全員に全額補填することを社内決議した証」といえるのではないだろうか。
 被害者3人と第一生命による第2回の調停期日は4月8日に予定されており、調停委員会の解決案が提示される見込みであり、第一生命の対応を待つことにしたい。

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【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

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