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2021年02月20日 07:00

西鉄「パークサンリヤン大橋」耐震問題訴訟~技術意見書作成者の1人 仲盛昭二氏に聞く(4)

 西鉄の分譲マンション「パークサンリヤン大橋」の耐震問題をめぐる訴訟が2月4日、福岡地裁で第1回弁論が行われた。

 Net IB Newsでは、被告から依頼を受けた弁護士の切望を受け被告側の反証を掲載している。原告である区分所有者と代理人弁護士の了解を得て、裁判のポイントおよび反証について構造設計一級建築士・仲盛昭二氏にインタビューを行った。

(聞き手・文:桑野 健介)

 ――被告は、(一財)福岡県建築住宅センターに「計画中の集合住宅のDsについて」という相談を行い、回答を得て、これを根拠とした主張を行っているようですが、福岡県建築住宅センターの回答はパークサンリヤン大橋の裁判に当てはまるのでしょうか?

 仲盛昭二氏(以下、仲盛) 被告設計事務所らが構造計算適合判定機関である(一財)福岡県建築住宅センターに相談した内容は「計画中の集合住宅のDs」についてですが、相談の書類に添付されている図面はパークサンリヤン大橋の図面です。つまり、既存の建物であるパークサンリヤン大橋を「計画中の集合住宅」と偽っており、質疑も全体の説明をせず、部分的で切り貼り的なものとなっています。また、建築住宅センターの回答は、既存・新築など建築確認申請の時期などを考慮した回答となっていません。

 パークサンリヤン大橋の建築確認当時、構造計算適合判定制度は施行されておらず、本件について、適合判定機関に(計画中と偽って)相談することは適切ではありません。

 ――構造計算適合判定とは、どのようなものでしょうか?

 仲盛 姉歯事件をきっかけに構造計算のダブルチェックが法制化され、構造計算適合判定というダブルチェックの制度が始まりました。これは、確認検査機関による建築確認の審査と並行して、構造計算適合判定機関でも判定を行うという制度です。この制度が始まったのは2007年6月であり、パークサンリヤン大橋の建築確認時期の7年後です。当然のことながら、この制度は新築の計画に対して判定を行うものであり、既存の建物の構造計算について判定をする制度ではありません。

 構造計算適合判定機関は全国に70以上もあり、実際に細かい部分では機関により意見が異なる場合もあります。本件のように、国交省監修といえる書籍の記載内容と構造計算適合性判定機関との見解が異なる場合は、国交省の考え方が正しいと解釈すべきであると思います。それ故、建築確認は羈束(きそく)行為なのです。

 被告設計事務所らは、福岡県建築住宅センター以外の全国の構造計算適合性判定機関にも同じ相談をしたうえでの主張なのでしょうか?そうでなければ偏った見解と言わざるを得ません。しかも、既存建築物を新築と偽った職務権限外の相談であり、建設場所も偽っており、この機関の見解をパークサンリヤン大橋に当てはめることは不適切だといえます。

 ――被告の設計事務所は、事実と異なる内容で構造計算適合判定機関に相談し、相談結果を裁判の証拠として提出したということでしょうか?

 仲盛 被告の設計事務所が構造計算適合性判定機関(適判機関)に相談を行った書類には、「福岡市中央区某所の集合住宅を計画」とあります。パークサンリヤン大橋は福岡市南区の既存マンションです。建設場所が異なれば地盤の性状も異なるし、新築の建物と既存建築物では適用する法令基準の時系列も異なります。被告の相談内容は新築か既存かの区別も、建設場所も異なっている虚偽の相談でした。

 また、構造計算適合性判定は07年に開始された制度であり、新築の建築物を対象としているので、増築などでなければ、パークサンリヤン大橋のような既存建築物に関する相談は管轄外の業務になります。

 新築の建築確認申請について判定をする機関に対して既存の建築物に関する質問をすることは、たとえるなら、脳外科の手術が必要な患者を歯科医院に連れて行くようなものであり、的外れで次元が異なるものです。「新築・既存」の区別や建設場所などを偽っていることは論外であり、虚偽の相談は建築住宅センターの業務を不当に妨害したともいえます。

 ――被告の設計事務所は、なぜ虚偽の相談を行ったのでしょうか?

 仲盛 本件マンションのような既存建築物であれば、行政庁のなかで既存建築物を担当する部署(福岡市であれば建築指導部監察指導課)に質問をすればよかったのではないかと思います。被告設計事務所の意図はわかりませんが、「虚偽でも何でも利用できるものは利用する」という行為は非常識な行為だといえます。

 適判機関の回答「SRC造として構造計算ができます」は大枠として、SRC造として構造計算ができるということですが、本件は部材(柱)に起因するDsを問題としています。そもそも、被告が既存建築物である本件マンションについて、新築建物の適合性を判定する機関に対し虚偽の相談を行ったことは、適判機関の業務外の相談内容で不適切であり、機関からの回答も本件マンションに当てはまる回答内容ではありません。

(つづく)

※欠陥マンションに関するニュースを特集したサイト「毀損したマンション資産の価値を取り戻すニュース」を開設していますので、こちらもご覧ください。

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