2024年04月19日( 金 )

エリア特性生かしたマンション設計、広めの間取りと都会的な空間デザイン

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(株)R.E.D建築設計事務所

保育施設で子育て支援

代表取締役 赤樫 幸治 氏

 分譲マンション・トラストレジデンス基山の企画・設計を手がけた(株)R.E.D建築設計事務所の赤樫幸治代表は、「戸建住宅が好まれるエリアで、いかに求められるマンションにするか」という点に留意したと語る。競合をマンションではなく戸建住宅と想定し、全邸南向きで各住戸は一般的なマンションよりも広めの間取りとした。さらに、ホテルライクなエントランス&アプローチなど贅沢な迎賓空間を備え、マンションならではの都会的で洗練された空間デザインを前面に出している。

 また、大きな特徴は、1階に保育施設が設けられることだ。保育施設は、基山町と事業主のトラスト不動産開発(株)の間で締結された「まちづくりに関する協定」における子育て支援の一環。マンションデベロッパーは住民とのトラブル発生リスクを懸念し、1階に店舗や施設などを入れるのを避ける傾向があるというが、今回は子育て支援を通じたまちの地域振興への寄与を第一義に考え、保育施設の設置を決定。町の定住促進課と協議を重ね、住民が増えてから「後出し」でつくるのではなく、設計・計画段階から盛り込むことが決まった。

 「JR基山駅まで徒歩5分で、福岡都市圏や久留米市などが通勤圏。都市部に働きに出る若い子育て世代の入居者や近隣住民からの、保育施設への需要はあると考えている」(赤樫代表)。

需要の変化に対応

クリオラベルヴィ天神

 R.E.D建築設計事務所は、福岡を中心に佐賀や長崎など九州全域をエリアとして、これまでにマンションを中心に商業施設、飲食店舗、医療関係、介護福祉施設、教育施設など、さまざまなジャンルの建築設計を手がけてきた。赤樫代表は自社の特徴・強みを、「バランス感覚を大事にしていること」だと分析。単なる高コスト・高質な建物を追求するのではなく、施主の意向を第一に考えながら、意匠面や建物構造、コスト施工面などのあらゆるバランスに気を配った建物は、「すべてにおいてまとまりのある良い作品になる」と話す。

 コロナ禍によって、設計に対する顧客の需要も変化している。たとえば、リモートワークを導入する企業が増えたことで、一時は軽視されていた住宅設計における書斎へのニーズが急上昇。ただし、書斎専用の部屋として設計してしまうと、いずれ持て余してしまう懸念もあるため、必要に応じてウォークインクローゼットに変更できるなど、設計段階から柔軟性をもたせる工夫は忘れない。そんな赤樫代表は、「必要不可欠な非効率」という言葉が好きだという。一見、非効率・無駄に思えることでも、月日が経つと大事になってくるケースも多々ある。あえて非効率な作業を経験することで、建築設計事務所としての引き出しを増やし、新たな発想を生み出す土壌にもなり得るのだという。

 トラストレジデンス基山は、官民連携による新たなまちづくりの取り組みとなる。「このプロジェクトを成功事例として、今後のモデルケースにしたい」――と、赤樫代表は力強く語った。

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【内山 義之】


COMPANY INFORMATION
社 名:(株)R.E.D建築設計事務所
代 表:赤樫 幸治
所在地:福岡市早良区西新4-6-15 ル・リアン西新102
設 立:2009年7月
資本金:100万円
URL:https://www.redoak.co.jp

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