2024年04月16日( 火 )

別府市のマンション設計偽装~大分県は早急に県内の建物調査を行うべき(1)

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 Net IB Newsでは、構造設計一級建築士・仲盛昭二氏が所有する大分県別府市の分譲マンション「ラ・ポート別府」について、仲盛氏が広瀬大分県知事に送付した質問状に対して、大分県や別府市が市民の安全などはまったく考慮していない回答をしていたことを伝えた。仲盛氏は再度、広瀬知事に質問状を送付し、大分県内の鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物の適法性の調査と是正を求めた。

1回目の大分県の回答

 分譲マンション「ラ・ポート別府」の構造上の法適合性と耐震上の安全性を確認した根拠を示すようご依頼をいただいた件については、当該建築物の建築確認申請書類は、文書の保存年限が過ぎており残っていないので、直接の根拠をお示しすることはできません。ただし、当時建築確認済証及び検査済証を交付していることから建築確認申請当時の基準は満たしていたものと考えています。

令和2年6月19日
大分県土木建築部建築住宅課長 樋口 邦彦

仲盛氏→大分県への質問状 2020年(令和2年)7月2日

(1)回答に「当時建築確認済証及び完了検査済証を交付していることから建築確認申請時の基準は満たしていたものと考える」とあるが、SRC造に関する私の指摘は、他の建物でも建築確認審査において見落とされたまま確認済証が交付された事例があったことです。

 「基準を満たしていたものと考えています」と推測ではなく、大分県が建築確認審査においてSRC造に関する私の指摘事項の基準への適合を確認した根拠を示してください。根拠を示されないのであれば、ラ・ポート別府は不適切な設計が行われ大分県による建築確認審査でも見落とされていたものと理解します。

(2)完了検査済証については、建築基準法第7条に「建築基準関係規定に適合していることを認めたときは・・・建築主に対して検査済証を交付しなければならない」とあります。大分県が検査済証を交付された際にSRC造に関して私が指摘した事項についても適合を確認されたものと理解してよいでしょうか?如何なる方法により適合を確認したか説明を求めます。説明がない場合は、適合を確認しないまま確認済証や検査済証を交付したものと理解します。

(3)建築住宅課長名の回答に文書番号が記入されていない理由をお聞かせください。

仲盛 昭二

2回目の大分県の回答

建住第482号 令和2年7月14日

 令和2年7月2日付けで当職にいただいたご質問について、下記のとおり回答します。

(1)令和2年6月19日付けの文書で回答しましたとおり、当時、建築確認済証及び完了検査済証を交付していることから、建築確認申請時の基準を満たしていたものと考えており、直接根拠をお示しすることはできません。

(2)当時の書類が残っていないため詳細は不明ですが、当時、建築確認申請当時の基準を満たしていたものと考えています。

(3)前回は文書番号を省略したが、今回は文書番号を記入し回答いたします。

大分県土木建築部建築住宅課長 樋口 邦彦

仲盛氏→大分県への質問状 21年(令和3年)1月25日

 このマンションの鉄筋量は60%も不足しており、放置していれば地震が発生した場合、近隣の建物や通行人に危害を与え、このマンションの区分所有者が加害者となります。そのような事態を避けるためには 適正な鉄筋量に是正する必要があり、そのためには建て替え以外に方法は考えられません。

 このマンションの解体・建て替え費用は全区分所有者が負担することになります。法令規準違反・耐震性について、技術意見書を添付するので大分県の代表者としての見解を示してください。なお、耐震性が不足したマンションに確認済証を交付した大分県の責任については、いずれ司法の判断を仰ぎたいと考えています。大分県の代表者として広瀬知事のご見解を文書にて令和3年2月8日までに仲盛までお願いします。

仲盛 昭二

(つづく)

【桑野 健介】

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