2024年04月24日( 水 )

物流を支える包装資材で企業活動や人々の生活の維持、発展に貢献

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

福岡パッケージ(株)

物流を止めないために連日フル稼働

 物流は、ビジネスや市民生活を支える重要な役割をはたしている。その物流を支えているのが包装資材であり、その代表格が段ボールといえる。段ボールは、商品の化粧箱として包装資材だけでなく、軽くて強度があることから輸送時に商品などを衝撃から守ってくれる物流資材としてなくてはならない存在だ。

 その存在意義を改めて示したのが、今回の新型コロナウイルスの問題だといえる。パッケージ、なかでも段ボールの企画・製造・販売を主力とする福岡パッケージ(株)は、コロナ問題で土産品関連の産業が打撃を受けた。そのことで既存の売上は減少した。しかし、次亜塩素酸水など消毒液の需要が大幅に高まり、今年1月から7月の売上高、利益は前期を上回る結果となった。物が動けば段ボールの需要につながる。それだけ段ボールが必要とされる分野は広く、社会的な役割も大きいといえる。

 増収となったのは、単に需要が伸びたからではない。「物流を止めてはならない」という全社的な使命感から、感染のリスクを負いながらも全社員が連日出勤しフル稼働で需要に応えたからである。物流関係者は人々に不安を与えないよう医薬品や食品など、生活に必要な物資を届けるために奔走した。その姿に周りから惜しみない感謝の言葉が贈られた。そうした世の中の評価に、社員たちも「自分たちは社会から必要とされている」と自覚し、誇りをもつようになったという。

台風10号に備えて粕屋町体育館に設置された段ボール製パーテーションとベッド(写真右下)
台風10号に備えて粕屋町体育館に設置された段ボール製パーテーションとベッド(写真右下)

食品ロス削減に取り組む

テイクアウト用に需要が伸びている弁当容器など
テイクアウト用に需要が伸びている弁当容器など

 同社はハワイ、ロサンゼルスでも事業を展開している。新型コロナウイルス感染拡大防止のために、アメリカ政府は外出禁止令を出すなど日本よりも厳しい対応をとったが、物流は止めなかった。飲食店は店内での食事の提供が禁止されたため、テイクアウトの提供が主流となり、食品を入れるトレーや弁当の容器などの需要は過去最高となり、海外事業の業績も大きく伸びた。

 今回のコロナ問題は、多くの変化をもたらした。その変化をうまく捉え、活かすことができれば新しいビジネスチャンスにもなる。「アメリカでは、食品ロスを減らすために食べきれなかった料理を持ち帰るための紙パックといった包装資材や紙のストローなどが普及しています。日本でも、食べきれなかった料理を持ち帰る風習が浸透すれば、食品ロスの問題にも貢献できるはずです」と庄嶋毅社長は新たな取り組みへの意気込みを語る。今後は、飲食店などに対して、食べきれなかった料理の持ち帰りやテイクアウト用に紙製の容器も使ってもらえるよう普及に向けた活動に取り組む。

社員が会社の未来を描く地域貢献で社員が育つ社風

 同社は2022年に創業50周年を迎える。これを機に会社のあるべき将来像や事業計画を社内でつくり上げている。売上目標や新規事業といったテーマを設け、テーマごとにチームをつくっている。たとえば、新規事業や売上目標の設定、設備投資などを検討するチームや社内コミュニケーションの促進を研究するチームなどがある。特筆すべきは、社長が考えるのではなく、社員みんなでつくるということを最大のテーマに置いているところだ。

 「社長が考えてトップダウンで落とし込んでいくような組織では、これからの時代の変化に対応できなくなるでしょう。そのため、今回のプロジェクトは自分のやりたいこと、在るべき会社像を社員が描いていくわけです」と庄嶋氏は力を込める。

 創業当時から庄嶋氏が大切にしてきたことがある。それは地域貢献だ。それも社員が地域と関わることではたす地域貢献である。会社として、社員が地域の行事に参加することを奨励している。

 「自分が住んでいる町の団体や地域行事に参加して、地域と関わりをもち地域のお役に立つことで、地域に対する愛着も増します。結果として、社員や会社が地域の一員として認められることにもつながるかもしれません。地域貢献は企業としての重要な使命の1つです」(庄嶋氏)。

 庄嶋氏をはじめ社員の多くが、博多山笠やどんたくといった祭りや消防団などの活動に積極的に参加している。その場合、会社を休むことができるのも同社の社風の1つである。

社員の多くが参加する博多山笠
社員の多くが参加する博多山笠

 地域の活動に参加していると、会社のなかや日常の業務では見えないものも見えてくる。このほど開発した、災害時に避難所などで使用する段ボール製のパーテーションも地域活動のなかで生まれた商品だ。消防などの活動で避難所を訪れた際、避難している人たちの不便や不満、不安を直接見聞きすることで、「自分たちでもっと良い物ができるのではないか」と、組み立てやすさや強度を追求し、今できるベストといえるパーテーションを開発した。それが認められて、粕屋町や久山町など周辺の自治体で次々と採用が決まったのだ。ほかにも保育園や学校給食などで使用する段ボール製のパーテーションなども開発し喜ばれている。

 自ら地域に関わり、仕事を通じてさらに地域に貢献できることを体験することで、仕事に対する誇りも高まる。そうした経験は、自分で動いて問題や課題を見つけ、それを仕事で解決することができる人財へと成長させるものだ。そうした風土づくりを庄嶋氏は、創業から追求してきたのだろう。その風土から育まれた土壌は、50周年を機に、さらに飛躍する力となるに違いない。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:庄嶋 毅
所在地:福岡県糟屋郡久山町久原工業団地2843
設 立:2000年2月
資本金:1,000万円
TEL:092-976-2202
URL:https://fukupa.co.jp


<プロフィール>
庄嶋 毅
(しょうじま つよし)
1968年12月、福岡県生まれ。福岡大学卒。91年4月、地場広告代理店の(株)三広に入社後、93年にフクパグループに入社。2000年2月、父・厚生氏より事業部を買い取り、福岡パッケージ(株)を設立、現在に至る。趣味はテニス、ゴルフ。

関連記事