2024年04月18日( 木 )

アパート販売から撤退し事業構造を大幅変革、IoT開発をフックに企業のDXコンサルで躍進図る(前)

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(株)Robot Home 代表取締役CEO 古木 大咲 氏
(4月1日に(株)TATERUから商号変更)

管理とIoTで黒字化目前

 ――フローからストックへ、ビジネスモデルの転換を図られていますが、現在の収益の柱となっている管理(KANRY)事業についてお聞かせください。

(株)Robot Home 代表取締役CEO 古木 大咲 氏
(株)Robot Home 代表取締役CEO
古木 大咲 氏

 古木 前期(2020年12月期)のKANRY事業の営業利益は昨対比169%増となる9億4,900万円でした。現在、当社の収益改善エンジンとなっているのは、間違いなくKANRY事業(AI・IoT事業を含む)です。

 収益が改善した要因は、大きく3つ。1つ目はコスト低減です。賃貸管理事業というものは、拠点ごとに人員を配置して管理物件の資料作成や契約手続きなどの作業を必要とするのが一般的ですが、その作業の一部を仕組み化、システム化することで削減できるようになっています。昨春にIoT機器と連動した賃貸管理システムが完成したことで、入居者向け、オーナー向け、管理会社向け、仲介会社向け、それぞれのアプリケーションやシステムとIoT機器が連動し、業務フローの改善による固定費圧縮が可能となりました。

 これは、今後の管理戸数の増加にも活かせます。管理戸数増加に向けたエリア拡大にも応用できるからで、コストを抑えながら、管理戸数の増加を図ってまいります。これまでの管理会社のビジネスモデルのように、どんどん拠点をつくって、人を採用して、といった拡大は考えていません。管理システムを最大限活用して、コストを抑えながらの拡大も可能だと考えています。これら業務の改善と自社保証サービスのシェア拡大などによる収入の向上が、収益改善の2つ目の要因です。

 3つ目は、IoT機器の販売増によるものです。前期末時点の管理戸数は2万4,572戸で、そのうちIoT導入戸数は9,565戸と前期から481戸増加しました。単純にこの販売利益が増益に貢献しています。AI・IoT事業の売上高は2億3,100万円、営業利益は8,100万円と、売上・利益ともにKANRY事業全体の10%近くを占めるまでになりました。

 ――御社の管理システムとは、どのようなものなのでしょうか。

 古木 創業以来、人の手をなるべく介さない賃貸管理システムの開発は行ってきたのですが、Residence kitの開発をきっかけに、テクノロジーの進化や世間のオンライン化への要望などを踏まえ、より進化させました。

 当社の管理システムは、管理会社の業務改善によるコスト削減は当然として、入居者やオーナーの満足度を上げることにも有効です。まず入居者ですが、遠方から引っ越して来るケースで、内見のためにわざわざ移動する必要がなくなります。さらに、オンライン契約であれば、入居まで一度も移動することなく契約を完了できます。また、電話でなくアプリのチャット機能を通じて、「クロスが破れた」「壁に画びょうは刺していいのか」などの問い合わせ内容を、いつでも管理会社に確認できるようになります。

 次にオーナーですが、内見状況や空室状況をリアルタイムで知ることができます。仮に空室が埋まらないとして、リアルタイムでその状況を把握したうえで家賃減額に踏み切るのと、管理会社から一方的に「決まらないから下げましょう」と提案されるのとでは、オーナーの満足度も変わるはずです。さらに、外壁や屋根、クロスやフローリングなどの修繕履歴もデジタルで管理できますので、売却の際の資料作成にも有利です。こういった管理システムは、当社が取引させていただいているオーナーや管理会社、仲介会社専用で提供してきましたが、今後はマイナーチェンジを施し、外部にも提供していく予定です。

(つづく)

【永上 隼人】


<COMPANY INFORMATION>
(株)Robot Home
 (4月1日に(株)TATERUから商号変更)
代 表:古木  大咲
所在地:東京都渋谷区恵比寿南3-4-14-2F
設 立:2006月1月
TEL:03-6447-0651

(中)

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