財務リストラに新規事業、TATERUの2年半を振り返る
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2018年8月末、預金残高改ざん問題が発覚したTATERUは正念場を迎えていた。9月以降は、本社や各拠点の移転や希望退職者の募集による大胆なリストラ策を講じ、固定費の削減および抑制に務めてきた。さらに、アパートの販売在庫など赤字をいとわない棚卸資産の売却を断行したほか、投資していたベンチャー企業の株式を売却し、現金化。急場をしのぎ、いずれ来る成長のテコとした。これにより、17年12月に58億円を計上していた販売管理費は20年12月には23億円にまで減少。依然として赤字を計上している状態だが、赤字の主な要因となっているTATERU事業の赤字も債務保証損失引当繰入額の占める割合が大きく、21年12月期は黒字転換を予想。2年半近くにわたる暗いトンネルから抜け出しつつある。
20年2月に公開した22年12月期までの3カ年を対象とした中期経営計画「NEXT TATERU VISION」では、「自社開発した IoT の強みと賃貸住宅販売の双方を通じて管理受託を強化することにより、IoT 賃貸住宅管理戸数をさらに拡大すると同時に、自社物件の IoT 導入シェアの向上を図ります。また、新会社である(株)サナスによる IoT 販売を通じた保証サービスの受託も強化していきます」とアパート販売によるフロービジネスから管理事業などのストックビジネスへの転換を宣言。21年12月期は1億円以上、22年12月期は10億円以上の営業利益を目標に据えた。
固定費のリストラが完了し、「すでに管理事業での営業利益1億円は見えている状況」(古木社長)といい、中計を上回る利益計上にも意欲を見せている。アパート販売をきっかけにIoT機器開発を手がけ、IoT機器開発をきっかけにDXコンサルへの足がかかりをつかんだ。祖業のアパート販売からは撤退するが、創業からの目標であった「不動産経営の自動化」に歩みを進めたTATERUは、4月1日をもって(株)RobotHomeへと商号変更。新たなスローガンは「住まいのテクノロジーで、世界を変える。」――収益構造の変革は外部圧力によるものも大きかったが、逆風を受けてより筋肉質となった同社の第二創業に期待したい。
【永上 隼人】
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アパート販売から撤退し事業構造を大幅変革、IoT開発をフックに企業のDXコンサルで躍進図る(前)
<COMPANY INFORMATION>
(株)Robot Home (4月1日に(株)TATERUから商号変更)
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設 立:2006月1月
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