【マンション管理を考える】「吉」と出るか?神戸市タワマン規制(前)
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神戸市は2020年7月、市中心部に当たる三宮駅周辺でのいわゆるタワマンの立地に規制をかける改正条例を施行した。規制緩和によって誕生したタワマンに対して再び規制をかけるという点で、画期的な試みだったが、不動産関係者などから「時代に逆行するものだ」と批判の声が挙がるなど、波乱含みのなかでのスタートとなった。タワマン規制施行から半年を経て、どのような動きがあったのか。市担当者に取材した。
292haでタワマン規制
神戸市は2019年7月、「神戸市民の住環境等をまもりそだてる条例」の一部改正条例を公布した。それに先立つ同年3月には、「多様な都市機能と居住機能とのバランス」を目的に、都心の土地利用誘導施策として、都心機能誘導地区(特別用地地区)を指定していた。
都心機能誘導地区の中身は、まず新神戸、三宮、元町におよぶ同市中央区の主要エリアを都心機能活性化地区(292ha)に指定。地区内での容積率400%以上の住宅建築物(敷地面積1,000m2未満は除く)の建築を原則禁止とした。この都心機能活性化地区の線引きは、既存の都市計画上の商業地域(用途地域)と一致する。いわゆる「タワマン規制」だ。
さらに、都心の中心部に当たる三宮駅周辺エリアを、都心機能高度集積地区(22.6ha)に指定。タワマンだけでなく、住宅用途の建築物を原則禁止とした。この都心機能集積地区は、市が進める三宮駅周辺再整備「えきまち空間」のエリアと大部分が一致する。
都心機能高度集積地区には、1階部分に商業施設が入っている「ゲタ履き」を含め、約10棟のマンションがすでに存在する。これら既存の建築物の建替えはどうなるのかといえば、床面積600m2の建築物の場合、1回目は同じ600m2で建替え可能だが、2回目は建替え自体が不可という取り扱いになる。なお、都心機能活性化地区の場合は、床面積を400m2に減らせば2回目の建替えも可能としている。
神戸の玄関口に住宅はいらない
神戸市の人口は約151万人(20年4月時点)。10年の約154万人をピークに、ここ数年は減少傾向にある。そんななか、タワマン規制の対象となる中央区では、阪神淡路大震災が発生した1995年には約10万人まで減少したものの、それ以降は右肩上がりの増加を続け、約14万人(21年2月時点)とここ数年、ピーク人口を更新し続けている。中央区の人口増加の原因について、同市ではタワマンの存在を挙げる。同市がタワマン規制に踏み切ったのには、久元喜造市長の強い思いがあった。市担当者は「(今回のタワマン規制は)完全に市長のトップダウンによるものだった」という。
(つづく)
【フリーランスライター・大石 恭正】
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