2024年03月29日( 金 )

オンデマンドバスと超小型EVで糸島の交通課題解消へ

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よかまちみらい号運行開始

よかまちみらい号に乗車する月形市長
よかまちみらい号に乗車する月形市長

 糸島半島を舞台に着々と進む実証実験「よかまちみらいプロジェクト」。同プロジェクトでは効率的な輸送体系の確立と、IoTの活用による良好な交通環境の創造による地域交通の課題解消を目指している。

 先行して、九州大学伊都キャンパス構内での学生・教職員向けのカーシェアと、JR「九大学研都市駅」前の(株)トヨタレンタリース福岡伊都店における、電動アシスト付自転車のレンタルサービス「よかチャリ」がスタート。好評を博している。

 そして、3月1日からは同プロジェクトの目玉であり、糸島市長・月形祐二氏も地域の交通課題解消の新たな一手として期待を寄せるオンデマンドバス「チョイソコよかまちみらい号(以下、よかまちみらい号)」の運行(土日祝は運休)がスタート。糸島市内の、とくに高齢者から交通利便性の向上が求められていた曽根・三雲エリアと、前原・波多江エリアといった市街地エリア間を運行する。

 8人乗りのよかまちみらい号は、既存のコミュニティバスより小型化を図ったことで、走行可能ルートの拡充と、それにともなうバス停数の増加を実現。市内在住者はスマートフォンアプリ「チョイソコ」に会員登録後、利用希望日やバス停、目的地を予約することができる。よかまちみらい号は予約状況に応じて、運行エリア内で最適なルートを選択して運行。料金は4月末までは無料(以降は200円/回)だ。

 なお、既存のコミュニティバスの運行も当面は継続されるが、よかまちみらい号の利用状況を踏まえ、いずれは運用方法を見直す方針。

回遊性向上にトヨタのC⁺pod

全長約2.5m、幅約1.3mの2人乗り超小型EV「C⁺pod」
全長約2.5m、幅約1.3mの2人乗り超小型EV「C⁺pod」

 交通課題の解消は、観光客の回遊性向上にも寄与する。よかまちみらいプロジェクトの一環で、糸島に3台導入されたトヨタの2人乗り超小型EV「C⁺pod(シーポッド)」は、主に電気自動車の使われ方の検証や、地域住民の日常生活における近距離移動での利用を目的としているが、観光利用にも十分対応可能なものだ。

 C⁺podは予約から解錠・施錠・返却手続きまで、すべてスマートフォンアプリ「TOYOTA SHARE(要登録)」で完結する。最高速度は時速60km、1回の充電での走行可能距離は最大150kmとなっており、ステーション【表①】参照)から観光スポットまで、スマートフォン1つで利用できる、効率的な移動手段といえる。また、停電時や災害時の非常用電源としての活躍(最大電力1,500w)も期待できる。

 C⁺podの利用は対象自治体住民(前原、加布里、曽根エリア住民)に関しては6月までは無償(任意で330円/1回の補償に加入可能)で、以降は実証実験の結果を参照し、料金や利用対象者を決める予定となっている。

「コロナお守りパック」とも連携

 オンデマンドバスと超小型EVが実証実験に加わったことで、マルチモーダルアプリ「my route(マイルート)」()のサービス内容も充実。コロナ禍での安心・安全な観光を支援する目的で、国内旅行傷害保険「コロナお守りパック(東京海上日動火災保険(株)販売商品、【表②】参照)」付きデジタルチケットの販売をmy route内で行うほか、飲食店などのリアルタイムの混雑状況を表示するウェブサービス「VACAN((株)バカン提供)」と連携し、密を避ける手段として情報提供を行っている。

 コロナお守りパックは昨年8月から販売を開始しており、同パックを利用した人からは「自分の年齢を考慮して、もしものときのために利用しました。安心感が得られるのが一番だと思います」という声も聞かれた。

 よかまちみらいプロジェクトによって、糸島半島に新たな交通網と情報網が形成されようとしている。付随して、関連する新サービスの提供も始まった。これまでバス停までの距離やバスの本数に不便を感じていた市民の生活様式、目的地までの移動手段に頭を悩ませていた観光客の観光プランが、選択肢に溢れたものに転じることを期待したい。

※:my route
 公共交通機関、自動車、自転車、徒歩など、さまざまな移動手段を組み合わせることで、目的地までの最適なルートを検索。必要に応じて予約・決済までを行い、利用者の移動をサポートするスマートフォン向けサービス。よかまちみらいプロジェクトにおいては、my route内で糸島を代表する有名店から穴場スポットの魅力を紹介し、その場所までの移動手段も提供している。 ^

【代 源太朗】

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