2024年03月29日( 金 )

柏崎刈羽原発が「運転禁止」、テロ対策不備問題で原子力規制委員が命令

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 東京電力の柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)のテロ対策不備問題について、原子力規制委員会は14日、再稼働に関する行政処分の是正措置命令を決めた。これは、原子力規制委員会から改善したという判断がなされるまで、柏崎刈羽原発を事実上運転停止とするものだ。

 この決定により、テロの標的となる可能性がある核燃料物質の防護のために必要な措置に関して、原子力規制委員会の検査を受けて第1区分に変更されるまで、原発の再稼働に必要な核燃料物質の移動が禁止される。原子力規制委員会は東電に対して、9月までに根本的な原因の特定や改善措置活動の計画などの報告を行うことを求めており、この取り組みに応じて、下記の通り追加検査が行われる予定だ。

追加検査の大まかな流れ(原子力規制庁の資料(※)より引用)
追加検査の大まかな流れ(原子力規制庁の資料(※)より引用)
(→資料3 東京電力ホールディングス(株)柏崎刈羽原子力発電所に対する 追加検査の実施方針について p.4より掲載)

 原子力事業者に対して是正処置処分が出されるのは、2013年の国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(もんじゅ(福井県)を運営)以来のことだ。東電は、原子力規制員会の再稼働安全審査に合格した柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働を目指していたが、同原発が追加検査を受けて原子力規制員会から改善したという判断がなされるまで、再稼働を行うことは見込めない。

 原子力規制委員会は、柏崎刈羽原発で設置を義務付けられた周辺防護区域や立入制限区域に関するテロ対策の核物質防護設備の機能の一部が喪失したが、同設備の点検、保守が十分に行われず、復旧に長期間を要し、実効性のある代替措置が講じられていなかったため、不正な侵入を検知できず、テロなどの脅威に対応できない恐れがあることを指摘した。また、定期的な評価や改善が十分になされていなかったことも指摘している。

原子力規制委員会は安全上、極めて大きな問題だと判断し、4段階のうちで最も深刻な評価を行った。東電は、今後の調査により、原因の究明や再発防止策の検討を行うとしている。

原発は安全上の懸念が残るなかで、再稼働が行われる事例も多いなか、原子力規制委員会が原発の不備に関して、検査結果に即した事実上の運転停止を命じたことは、安全面における大きな一歩ではないかと感じる。

【石井 ゆかり】

※「東京電力ホールディングス(株)柏崎刈羽原子力発電所に対する 追加検査の実施方針について」

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