シャンプー選びの悩み、DtoCパーソナライズが解消（後）

フィードバックによりシャンプー配合を変更

　「MEDULLA」はシャンプー・リペア（コンディショナー）セットで約7,000円（1カ月ごとの定期購入）と高価格帯であるが、「『ダメージヘアだけどふわふわにしたい』といった気になるポイントや、カラーやパーマ、季節の髪のコンディション、そのときの気分に合わせて毎回配合を変えられることが、リピーターにとって納得感のあるところです」（（株）Sparty のMEDULLAユニットディレクター・上原涼子氏）。

　商品の発送時には、ツヤ・ボリューム・まとまり・ダメージ・頭皮環境を基にした髪の状態に合わせて、また理想の髪を実現するために配合した成分などについて、ヘアアドバイザーからの1人ひとりに向けたアドバイスを載せたカードを同封している。髪が痛みにくいタオルドライの方法や髪によい食べ物など、ヘアアドバイザーから毎月届く季節に合わせたアドバイスによって、髪の調子が良くなったという声も多いという。

　さらに、定期購入の2回目以降は、ユーザーがフィードバックした感想に合わせて配合を調整したシャンプーを発送。初回お試しで思った仕上がりでなかった場合にほかの商品に移ってしまう通常の化粧品通販とは異なり、ユーザーが続けたくなる点だろう。

　「MEDULLA」は全国500店舗のヘアサロンとも提携しており、無料で髪質診断や「MEDULLA」の製品を使ったシャンプー体験が受けられる。上原氏は「既存のお客さまが髪の悩みやヘアケア方法を美容師に相談するために来店することが多いようです。今後は、ヘアサロンでヘアケアのサポートが受けられるなど、リアルでのサービスを増やしていく予定です」と今後の展開について話している。

髪質診断や香りを試せる体験型店舗

　同社は、有楽町マルイ店（東京都千代田区）で常設の体験型店舗を運営している。これに加えて、都内のほか大阪や福岡などに期間限定体験型店舗を出店してきた。店内では無料髪質診断やヘアケアのアドバイスを受けたり、シャンプーの香りを試したりできる。

　一方で、店舗は商品を選ぶお手伝いをする場所と位置づけ、「MEDULLA」の商品注文はウェブで受け付けることにしている。主にオンライン注文で対応し、店舗の在庫をほとんどもたず、五感による「体験」に特化するなど、これからの店舗の在り方を先取りしているようだ。

　店舗での髪質診断では、特殊な機械を使って頭皮診断や毛穴診断を行い、頭皮の柔軟性を調べる。これにより、髪年齢、頭皮の水分・油分、うねり毛、髪やせなどの項目をスコア化する。このスコアとスタイリング方法、ヘアケアの使用アイテム、パーマやカラーの有無、パサつきや指通りなどの髪の悩み、目指したい髪のイメージについてスタッフのアドバイスを受けながら、シャンプー・コンディショナーの配合を選ぶ仕組みだ。

　「MEDULLA」の香りは5種類。香りをイメージで選ぶオンラインでは「ライト（ホワイトムスクの香り）」が一番人気であるが、香りを体験できる店頭では「オーシャン（マリンベルガモットの香り）」が最も人気がある。やはり五感で判断する香りなどについては、実際に試すことができる店舗が強みを見せているようだ。

　最近は、コロナ禍で美容院に行く機会が減り、少し高価なヘアケア商品を使って髪のお手入れをしたいという需要が増え、髪質診断によって自分に合うものを選んでほしいという新規顧客が多いという。既存ユーザーも、髪の悩みを相談しながら2回目の配合をスタッフに選んでほしいと来店する傾向にある。

　店舗での購入者にはスタッフから手書きの手紙を送ることで、店舗ならではの購入体験も差別化している。髪質診断結果やカルテを毎回記録し、再来店時には過去のデータと比べながら相談に乗れる仕組みだ。

　「MEDULLA」はシャンプー・リペア（コンディショナー）を起点に、ヘアオイルやスカルプケアエッセンスなど商品の幅を広げており、リピーターのヘアケアを長い目でサポートできる体制を築いていく方針だ。

（了）

【石井　ゆかり】