2022年01月20日( 木 )
by データ・マックス

住友不動産 シティタワー大濠の施工不良のその後(前)

 Net IB Newsでは、福岡市中央区の住友不動産販売(株)が分譲したマンション「シティタワー大濠」の欠陥を報道した。このマンションのその後の経過について、「住友不動産違法欠陥マンション被害者の会」から情報を得た。

区分所有者が福岡市監察指導課に質問

 「住友不動産違法欠陥マンション被害者の会」のメンバーである区分所有者の1人が、「シティタワー大濠」の「構造スリットの未施工」「基礎杭の支持地盤への未到達」について、福岡市監察指導課に相談をしたところ、監察指導課から2020年12月11日、下記の回答があった。

 建物の不具合について建物所有者(マンション管理組合)、事業主である住友不動産(株)および施工者である(株)熊谷組に聞き取りを行いました。結果、建築基準法に不適合となる事項は確認できませんでした。

    福岡市監察指導課からの上記の回答に納得できない区分所有者は、監察指導課に対して質問書を送付した。質問は以下の通り。

 (1)当マンションは、構造スリットが図面通りに施工されていなかったため、構造スリットを追加する工事を実施する予定です。現時点では構造スリットが施工されていないので、建築確認時の図面や構造計算と異なっており、当然、構造耐力も建築確認を受けた状態と異なっています。構造スリットを追加する工事が行われていない状態で、「聞き取りの結果、建築基準法に不適合な事項は確認できなかった」と判断された経緯を説明してください。

 (2)当マンションについて建築士が作成した資料には、「スリット未施工と杭先端の支持層未達によって、建築確認当時の安全率の水準(順法性OKライン)よりも、スリット補修工事後の建物は安全率が低下している」と報告されています。順法性OKラインより安全性が低下している状態で「建築基準法に適合」と判断された根拠を説明してください。

(3)回答に「杭については、第三者機関である(一財)建築研究振興協会が、必要な支持力を有していると判断したことを報告書で確認しております」とあります。(一財)建築研究振興協会には、シティタワー大濠の施工ミスを犯した熊谷組が会員として所属しています。「第三者機関」であれば、利害関係者と無関係な機関であるべきです。客観性を担保されていると判断した根拠を示してください。

 福岡市監察指導課の回答は「すでに回答しているので、改めて回答することはありません」という内容であった。

 福岡市に質問書を送った区分所有者は、「ゼネコンなどにより構成されている団体による検証結果は客観性に欠ける。基礎杭が支持地盤に届いていないことが明らかであっても、『建築基準法に不適合となる事項は確認できませんでした』という福岡市の回答は、市民の安全を考えておらず不誠実だ」と憤る。

 シティタワー大濠は、構造スリットが図面通りに施工されていなかったため、住友不動産および熊谷組は構造スリットを追加する工事を行っており、工事迷惑料(騒音の差などにより50~10万円)も提示されている。しかし、「迷惑料をもらえば苦情をいえなくなる」という声もある。基礎杭については何も補強工事は行われないが、区分所有者に慰謝料を支払うとともに希望すれば買い取りを行うという条件を提示し、すでに買い取りに応じた住戸もある。

 ほかのマンションの事例では、福岡市東区の分譲マンション「ベルヴィ香椎」では、基礎杭が支持地盤に到達しておらず、建物が傾斜するなどの実害が発生していたため、販売会社側は建替えを決定し、解体工事を開始している。

 基礎杭が支持地盤に到達していない点において、東区のベルヴィ香椎と中央区のシティタワー大濠は施工において同じ瑕疵があったが、その違いは「実害が生じているかどうか」ということである。

【桑野 健介】

(つづく)

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(後)

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