住友不動産 シティタワー大濠の施工不良のその後(後)
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Net IB Newsでは、福岡市中央区の住友不動産販売(株)が分譲したマンション「シティタワー大濠」の欠陥を報道した。このマンションのその後の経過について、「住友不動産違法欠陥マンション被害者の会」から情報を得た。
福岡市に質問をした区分所有者は「シティタワー大濠では体感するほどの不具合は出ていないが、基礎杭が支持地盤に届いていない状態は、建築確認を受けた設計と異なっているので、マンションの価値が毀損されている。このことは管理組合理事会に何度も言っている。住友不動産・熊谷組は希望する住戸は買い取ると言っているが、このマンションは立地が良いため売買相場はかなり高いにも関わらず、買い取り金額は相場よりも相当低い。基礎杭が支持地盤に届いていないという致命的な欠陥を残した状態で、わずかばかりの慰謝料で納得できるはずがない。多くの住民が黙っているのは不思議でならない」と語る。
シティタワー大濠は竣工から21年が経過して、民法でいうところの「除斥期間」を過ぎており、法的には販売会社や施工会社の不法行為責任を問うことはできないが、住友不動産は慰謝料と買い取りという条件を示している。
しかし、基礎杭が支持地盤に届いていないという、建築確認と異なる状態が是正されないまま放置されてよいのかという問題が残る。万が一、地震により近隣の建物や市民に被害を与えた場合、シティタワー大濠の区分所有者が“加害者”となってしまう。建築研究振興協会の検証により「問題ない」とされているが、熊谷組が所属している建築研究振興協会による検証は、「業界の身内の検証」であることも問題である。
2021年4月、住友不動産が分譲した23階建てのタワーマンション「シティタワー恵比寿」(総戸数:310戸、東京都渋谷区)における施工不良(設計・施工は西松建設(株))が報じられた。
報道によれば、シティタワー恵比寿では「地下駐車場の壁が図面は二重だが施工は一重」「住戸間の耐火構造壁が欠落」などの施工不良があり、管理組合と住友不動産との協議は難航している。住友不動産が分譲した横浜のマンション「パークスクエア三ツ沢公園」では、建物が傾斜しているため、建替えが決定している。
住友不動産が分譲したマンションで施工不良が相次いで発覚しているが、シティタワー大濠とパークスクエア三ツ沢公園の施工業者は熊谷組、シティタワー恵比寿の施工業者は西松建設である。
熊谷組と西松建設は、先に紹介したシティタワー大濠の区分所有者が福岡市監察指導課に送付した文書に「(一財)建築研究振興協会にはシティタワー大濠の施工ミスを犯した熊谷組が会員として所属しています」とあるように、建築研究振興協会の会員である。施工ミスを繰り返すゼネコンにより構成される団体が「適法」「安全」と報告をしても信じる方が難しい。しかし、福岡市は、民間の団体による検証報告に頼らなければ事態を収拾できないのであろう。
管理組合での決議方法に問題があったとも聞くが、決議された以上、管理組合と区分所有者がすべての責任を負わなければならないことを、シティタワー大濠の区分所有者は認識しておかなければならない。東日本大震災から10年。福岡西方沖地震から16年。今後、シティタワー大濠が大地震に遭遇しないことを祈るばかりである。
(了)
【桑野 健介】
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