2022年05月25日( 水 )
by データ・マックス

第一生命の金融詐欺事件(7)~進む被害額の全額弁済

 ウィキペディアは第一生命の金融詐欺事件を「第一生命多額詐取事件」として、以下のように掲載している(※一部編集)。

 日本の保険会社の第一生命保険の営業社員が起こした、架空金融詐欺事件である。長年、トップセールスを記録していた営業社員が「上席特別参与」や「特別調査役」の肩書を信頼した顧客に対して、「金利30%の特別枠」などの架空の金融取引をもちかけて不正に資金を集め、当該社員が返済を行わなかった。被害者は21名に上り、被害総額は約19億円とみられている。

発端
 2014年10月15日に講談社から発刊された「実録 頭取交替」(浜崎裕治著)により、仮名でありながら、当該社員と山口銀行の相談役との長年の癒着とその実態が明らかになり、大手メディアにも知られることとなった。2020年6月に被害者の訴えにより発覚し、第一生命の社内調査で、不正が明らかになった。7月、第一生命により刑事告発され、当該社員は懲戒免職となった。その後10月には、金融庁も報告徴収命令を出すなど不正の調査に乗り出した。

被害者の救済
 告発のきっかけとなった被害者には10月1日、預けた保険金の約3割が第一生命から弁済された。2020年12月4日、被害者を支援する弁護団が、被害者への全額の弁済を会社側に求める調停を裁判所に申し立てを行った。2021年3月31日、裁判所より相当であると示された和解案に上乗せして、被害額の全額を、被害を受けられた方々に補償する必要があるとの判断をして、被害を受けられた方々にお支払いした金額の全額を弁済することを発表した。

進む被害額の全額弁済

(1)3月26日(山口地裁周南支部)

 第一生命保険の正下文子元特別調査役(89歳)が西日本マーケット統括部徳山分室に在職中に、顧客24人から19億5,100万円をだまし取った金融詐欺事件で、山口県周南市の女性が1,000万円をだまし取られたとして損害賠償を求めた訴訟の進行協議が3月26 日、山口地裁周南支部であり、同社が実損を全額支払う意向を示し、和解が成立する見通しとなった。

 原告弁護団の末永汎本弁護士によると、第一生命側はすでに肩代わりして支払った300万円に加え、残る700万円の弁済を提案したという。これまでに第一生命は被害額の3割を弁済し、残りは利息の受け取りなど被害者ごとの事情を考慮する方針を示した。

(2)4月8日(東京地裁)

 金融詐欺事件の顧客24人のうち3人が、第一生命に被害弁済などを求めて申し立てた調停が4月8日、東京地裁で成立した。弁護団によると、同社が解決金として被害額の未払い分に当たる計約1億9,200万円を支払う。弁護団によると、3人は山口県の女性で、被害額は計2億7,500万円に。

 3月26日の和解成立のとき、第一生命は「被害者には個別に対応しており、協議内容についてはコメントを控える」とやや冷ややかな対応だった。しかし、第一生命は3月31日、被害額が確定した顧客全員に全額を弁済すると発表。この2億円近い支払いにすんなり応じている。

(3)4月21日(山口地裁周南支部)

 金融詐欺事件の被害者24人の1人、周南市の女性が約800万円の損害賠償を求めた訴訟の進行協議が21日、山口地裁周南支部であり、第一生命が示した和解案に応じる意向を示した。 

 訴状によると、被害女性は20年3月、正下元特別調査役から架空の資産運用をもちかけられ、1,000万円をだまし取られたと訴えている。同社はすでに300万円を肩代わりして弁済。原告側弁護士によると、残る700万円についても同社が弁済する和解案を示し、原告が応じる方針という。

まとめ

 第一生命は3月31日付で、正下文子元特別調査役による金融被害者に対し、被害額の3割の立替弁済を除く全額を補償する声明を発表している。

 すでに、金融詐欺事件の被害者24人のうち、5人に対して第一生命が弁済に応じた金額の合計は2億9,500万円。金融詐欺事件の被害総額は19億5,100万円。それを差引すると、被害者19人の16億5,600万円は支払われていないことになる。

 現在1人が裁判で係争中だが、残る18人の被害者は高齢であることや裁判により名前が明るみになることを嫌い提訴しなかった人たち。全ての被害者に対し、第一生命は1日も早くこの声明を実行し、全額弁済することが求められている。

【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

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