「人が中心」森ビルの都市DX、六本木ヒルズなどで都市OSを実装(後)
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利用者情報を開発に反映
さらに、街の利用によって得られるデータや、カメラなどのセンシングデバイスから得られる街情報を基に、各施設にて提供するサービスを向上させていく予定だ。また、利用者の声やアクセス解析を活用して、アプリの機能も高めていく。
そして、23年に完成する新規プロジェクトの「虎ノ門・麻布台プロジェクト」(東京都港区)や「虎ノ門ヒルズエリア」(同)では、ヒルズアプリの利用情報や、街から得られたデータを顧客体験にも反映できるよう、サービスとして街に実装する予定だ。たとえば、虎ノ門・麻布台プロジェクトでは、コンセプトの柱の1つである「ウェルネス」の実現に向けて、医療施設を核とし、スパやフィットネスクラブ、フードマーケット、レストラン、広場、菜園など、さまざまな施設をメンバーシッププログラムでつなぎ、この街で住み、働くことのすべてが「ウェルネス」につながる仕組みを構築する。その際にも、さまざまな場面において、ヒルズネットワークを活用する可能性が考えられる。
エリア間もシームレスに
今回導入されたデジタルプラットフォーム「ヒルズネットワーク」では、これまでオフィスや住宅、商業施設や文化施設など、それぞれの施設で発行していたIDを「ヒルズID」として1つに統合することがベースとなる。これにより、住む、働く、集う、遊ぶなどの都市機能をコンパクトに組み込んだ街・「ヒルズ」がデジタル上でつながることになる。
さらには、六本木ヒルズ、虎ノ門ヒルズ、表参道ヒルズなど、複数のヒルズを連携・融合させることも可能になるため、都心部エリア全体をシームレスに利用できる仕組みが構築される。「ヒルズネットワークは、あくまで街を支えるインフラという位置づけであり、これらを活用して、いかに豊かな体験を提供できるかが重要だ。都市がさらに便利で快適になるようなアイデアやテクノロジーをもつプレイヤーと、ヒルズネットワークを活用した実証実験も行っていきたい」と北尾氏は語る。
都市DXの展望
今後、人々の働き方や住まい方がますます多様化していくなかで、虎ノ門・麻布台プロジェクトや虎ノ門ヒルズエリアでは、「ヒルズネットワーク」によって統合された施設・サービスと利用者のデータ基盤をベースとし、さまざまな最先端技術を実装することで、街全体がワークプレイスとなり、街全体がリビングスペースとなるような、従来以上にシームレスな都市生活(ヒルズライフ)の実現を目指している。また、イベント運営においても、リアルの臨場感を生かしながら、場と場をつなぎ、遠方からも参加できるデジタルの利点を取り入れることで、コミュニティを広げ、育んでいく考えだ。
北尾氏は、「街は建物が完成したときがスタート。便利さや快適さなどのソフト面をいかに向上させていくかということが、完成してから年月が経っても人が集うまちづくりの要となる。設備などのハード面は完成後も改修ができるが、街と人々との絆は、一度衰退してしまうと取り戻すことができない。ヒルズネットワークの仕組みやさまざまなデジタル技術を活用し、これからも『人』を中心にまちづくりを考えながら、人々に豊かな都市生活を提供していきたい」と語る。長期間にわたって東京のまちづくりを支えてきた森ビル、「都市DX」と謳うのが同社であるからこそ、今後の発展に期待したい。
(了)
【石井 ゆかり】
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