【熊本】まちなか再生プロジェクトで熊本市中心市街地は生まれ変わるのか?(前)
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「まちなか」への危機感
熊本市は現在、熊本城周辺や熊本駅周辺を含む「熊本中心市街地活性化基本計画」の対象エリア約415haを対象にした「まちなかの再生プロジェクト」を進めている。熊本市の中心市街地では、建築面積が比較的小さく、階段が複数設置されている中高層建築物(いわゆるペンシルビル)が多く見られるが、そのうち旧耐震建築物を含む築40年以上のビルが3割を占め、地震リスクを抱えている。
熊本地震で被災したビルの解体にともない、青空駐車場などの低未利用地が増える「スポンジ化」が進行している一方、オフィスビルの新築率(築10年未満)はわずか3%(2017年8月時点)にとどまっており、企業ニーズに合ったオフィスが不足している。「まちなかをどう再活性化するか」が、大きな課題になっているわけだ。
この点、熊本市担当者は「熊本駅周辺エリアでは、新幹線の開業効果や、熊本駅ビルや駅前広場の整備への期待もあり、民間投資が活発で新しいビルへの建替えが進んでいる。その一方、中心部の既存市街地は、都市の顔であることから、民間ビルの建替えを促し、都市の新陳代謝を加速させることが重要である」と話す。
容積率900%、高さ70m
このような現状を踏まえ、熊本商工会議所と熊本経済同友会は18年1月、「熊本市中心市街地グランドデザイン2050」を策定。世界に拓く「城下町都市」の実現に向け、5つの戦略目標、15の主要施策を取りまとめた。これを受け、くまもと都市戦略会議は同年8月、今後10年間で取り組むべき3つの戦略、10のプロジェクトを整理した。まちなか再生プロジェクトは、この10のプロジェクトのなかの1つの事業に位置付けられる。
まちなか再生プロジェクトは、老朽建築物の建替えと、これに合わせて一時避難所の整備などにより、「災害に強い上質な都市空間」を創出する、商業施設の整備に合わせ歩行空間や熊本城を臨む眺望の確保に向けて公開空地の整備を促進することなどにより、「誰もが歩いて楽しめる都市空間」を創造する、防災機能を備えた高機能オフィスなどの整備誘導により、「いきいきと働ける都市空間」を創出することを目指すもの。
これら実現には、積極的な民間投資を促す必要がある。そこで、「容積率の割増」「高さ基準の特例承認」「財政支援」という3つのインセンティブを設定している。容積率の割増となる地域は、通町筋・桜町周辺地区のうち、とくに商業的な都市機能が集積する、現行の容積率が600%のエリアを対象とする。
(つづく)
【フリーランスライター・大石 恭正】
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