2024年04月19日( 金 )

【熊本】暮らしのネットワークをつくる、戸建のプラットフォーマーへ

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(株)Lib Work 代表取締役社長CEO 瀬口  力 氏

中心部の活性化に期待

 ――熊本に本社を置く企業として、熊本エリアのポテンシャルについて、どう考えられていますか。

代表取締役社長CEO・瀬口力氏
代表取締役社長CEO・瀬口力氏

 瀬口 熊本は非常に面白いエリアだと感じます。たとえば住宅市場として見ると、福岡であれば大手のハウスメーカーが多数進出していますが、熊本は市場規模的に県外から入ってきづらく、地場のハウスメーカーがシェア上位を独占しています。その一方で、熊本を足がかりに県外には打って出やすいという、地場業者が「守りやすく・攻めやすい」という土壌があるように思います。

 また、5年前の熊本地震で市の中心部も甚大な被害を受けましたが、その復興もある程度落ち着き、今度は熊本駅前をはじめとした再開発が活発化しています。これまで熊本ではあまり電車利用の文化がなかったのですが、これを機に駅や沿線の活性化や再開発が進めば、不動産的な感覚でいうと、非常にチャンスが広がるのではないかと期待しているところです。

 市中心部でいえば、熊本城のほかに、当社がネーミングライツを取得した「リブワーク藤崎台球場」や、コンサートも可能な熊本城ホール(サクラマチ クマモト内)など、魅力的なスポットがたくさんあります。現状は各自バラバラで分断されている状態ですが、これらを連携した1つのコンテンツとしてまちの活性化を進めていけば、もっと面白い取り組みができるのではないでしょうか。JR熊本駅の駅ビルも開業しましたし、藤崎台球場をホームとする熊本県の初のプロ野球チーム「火の国サラマンダーズ」もできました。これらをきっかけに、市中心部エリアに賑わいが生まれていくことを期待しています。

 ――熊本地震から5年になりますが、地震の前と後とで、家づくりに関する変化などはいかがですか。

 瀬口 住宅でいうと、平屋建てのニーズが明らかに増えました。以前であれば、平屋は「老後の住まい」というイメージが強かったのですが、地震で2階部分が1階を押し潰したケースがあったこともあり、安全性を考えて、若い方でも平屋を選択される方が増えています。当社の住宅でいえば、以前は平屋の割合が約2割といったところですが、今では約4割と倍増しています。

持続可能なまちづくりを

 ――御社の今後の事業方針などはいかがですか。

 瀬口 1つは、事業エリアの拡大です。当社は昨年7月に建売事業を行うタクエーホーム(株)(神奈川県横浜市)を子会社化したほか、今年8月には当社の千葉店を開設します。先ほどの他県に「攻めやすい」の話ではないですが、当社もこれら関東エリアへの進出を足がかりに、いずれは日本全国への展開を見据えています。

 また、コロナ禍によってさまざまな業種・業界に逆風が吹いているなか、ネット集客を強みとする当社では、逆に追い風が吹いています。というのも、外出自粛などの影響でネットでの情報収集をされる方が増え、当社の受注件数は昨年7月以降の3四半期連続で前期比200%以上となっています。

 こうした従来のネット集客に加えて、今後の成長エンジンと見込んでいるのがYouTubeです。現在、当社のYouTubeチャンネル「LibWork Ch」は、戸建てメーカーのなかではチャンネル登録数ナンバーワンを誇っており、おそらく5年後には、当社の動画を見ることなしに家を建てようとする人はほとんどいなくなるのではないかと思うほど、寡占的な広がりを見せています。YouTubeの強みは、何百本と動画を上げて1つのカテゴリーを押さえれば、視聴後に関連動画が次から次に紐付けされていくところです。従来のネット集客とはまた違うかたちのものすごい影響力を感じており、将来的には週3~4本のペースで動画を上げていく予定で、今はその基盤をつくっているところです。

 当社は、YouTubeも含めて戸建のプラットフォーマーになることを目指しており、その取り組みの1つとして、仮想住空間の構築支援サービスを行う安心計画(株)(福岡市博多区)と共同で、AIを活用したお客さまへの提案システムの開発を行っています。このシステムでは、お客さまの要望を電子アンケートなどでビッグデータとして集め、エリアや年齢層などによって違うさまざまな要望をAIで解析したうえで、お客さまへのプランや商品企画のご提案や、全国の工務店さまの支援につなげていきたい考えです。

 また、「家」という商品そのものを見直していこうと、「niko and ...」や「無印良品」「Afternoon Tea」などのさまざまな企業とのコラボを進めています。そうした企業ブランドをうまく生かした商品づくりを行うことで、さまざまな顧客ニーズに対応し、お客さまの選択の幅を広げていきたいと思っています。

Lib Work本社
Lib Work本社

 ――最後に、御社の家づくりにかける思いをお聞かせください。

 瀬口 当社の社名「Lib Work」には、さまざまな人々の暮らしや生活(Live)をつなぐネットワーク(Work)企業へと成長していきたいという思いが込められています。単なる戸建メーカーではなく、人々の暮らしのネットワークをつくっていく会社でありたい、と。今、トヨタ自動車(株)が「Woven City」というまちづくりの取り組みを行っていますが、当社でもさまざまな企業とコラボしながら、まちづくりに向けての具体的な話を進めているところです。

 そのためにも、SDGsの実現に向けた取り組みは欠かせません。現在、太陽光発電システム販売の(株)グリムスソーラーと組んで、住宅に太陽光発電システムを無料で設置する取り組みや、電力小売事業を行う(株)Looopと組んで、再生可能エネルギーの販売なども行っていこうとしています。「地球環境に優しいサステナブル企業に生まれ変わる」というのが、今後の当社の大きな軸になっていきますし、単に「戸建住宅を売って終わり」ではなく、次世代にバトンをつなげていけるような、持続可能な暮らしづくり・まちづくりを行っていき、さまざまな暮らし方を世の中に提供できればいいなと考えています。そして、こうした考え方に共感していただける企業とコラボしながら、まちづくりを手がけていきたいですね。

【内山 義之】


<COMPANY INFORMATION>
(株)Lib Work

代 表:瀬口 力
所在地:熊本県山鹿市鍋田178-1
設 立:1997年8月
資本金:10億1,477万3,198円
URL:https://www.libwork.co.jp

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