施設間連携で一体的なバリアフリー化図る国交省が基本構想等ガイドライン改訂(後)
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国交省は3月16日、「移動等円滑化促進方針・バリアフリー基本構想作成に関するガイドライン」を改訂した。今回の改訂は、2020年5月の「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(以下、バリアフリー法)」の改正による「心のバリアフリー」の推進や、「移動等円滑化の促進に関する基本方針」(以下、基本方針)の21年4月改正による、移動等円滑化促進方針(以下、マスタープラン)や基本構想の地区設定に関する要件の見直しを踏まえたものだ。
一体的なバリアフリー推進
国交省は、高齢者や障がい者のほか、道路管理者や公共交通事業者などのサービス提供事業者を含む協議会を市町村が設置できる仕組みをつくり、市町村が施設利用者の意見をマスタープラン・基本計画に反映することを義務化することで、当事者参加型のまちづくりを目指している。国土交通省総合政策局バリアフリー政策課課長補佐・杉野友香氏は、「住民の声を拾い上げて関係者が連携して計画をつくるためにも、協議会には民間企業などの関係事業者も参加してほしい」と話す。
今回の改訂で、高齢者・障がい者、施設設置管理者が市町村に対して、「道路の段差を解消してほしい」などの要望を基にマスタープラン、基本構想の作成や変更を提案できる制度をより一層推進するための制度活用のポイントや活用事例が追加された。
国交省は、マスタープランを作成している自治体を2020年6月末の8市町村から25年度末に350市町村、都市部を中心に作成が進む基本構想では19年度末の304市町村から25年度末に450市町村にすることを目標としている。杉野氏は、「すべての市町村が、面的、一体的なバリアフリーを推進する取り組みを支援していきたい」という。
【事例】
兵庫県明石市
基本構想とマスタープランを一体的な計画として自治体の方向性を明確化し、1日利用者が3,000人以上の駅周辺、団地など住宅密集地、住民提案のあった地区をすべて移動等円滑化促進地区(以下、地区)に設定し、地区ごとの基本構想を定めている。心のバリアフリーも、法改正以前から自主的に推進している。富山県射水市
既存で設定している地区のほか、住民アンケート・ヒアリング調査や人口集積データ、都市計画を基に生活関連施設と生活関連経路をつなぎ、将来的な経路延長の可能性を踏まえて地区設定を実施。福岡県飯塚市
住民アンケート調査結果から、多くの人が利用する施設や経路を選定してGIS(地理情報システム)に流し込んで地図上で可視化したうえで、生活関連施設および生活関連経路を設定し、それらを基に地区を設定している。(了)
【石井 ゆかり】
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