2024年04月20日( 土 )

【コロナワクチン体験記】長い針がブスリ 痛みと腫れも

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 左腕をめくり、女医さんが打ちやすいように少し傾けた。長めの針が刺さったかと思うと、終わった。30秒間あっただろうか。注射跡に小さなテープが貼られた。「ここ(注射跡)をしばらく押さえておくのですか?」。「必要ないですよ。血液サラサラのお薬は飲んでいらっしゃらないので」と女医さん。

 4月27日。鳥栖市の「鳥栖プレミアムアウトレット」に近い中規模病院で1回目の新型コロナウイルスワクチン接種を終えた。別室で17分間ほど待機。その後、5月18日の2回目接種の案内をもらって妻と一緒に院外に出た。

 鳥栖市は佐賀県で唯一、個別接種のみでコロナワクチンの接種を進めている。申し込んだ病院は、腱鞘炎手術後のリハビリで通っており、高齢者接種が始まる3日前の4月9日に通院のついでに申し込んだ。

 医学の取材をするので、ワクチンのことはある程度わかる。一般的なインフルエンザワクチンは「不活化ワクチン」と呼ばれるタイプ。原因のインフルエンザウイルスを不活化(細菌に例えると殺菌)させて体内に皮下注射で送り込む。

 ところが、国内で承認済みのコロナワクチンに不活化タイプはない。米ファイザー社のmRNAワクチンを接種する以外に選択肢はなかった。

 コロナウイルスがヒトの細胞に侵入する際、ウイルス表面のスパイクタンパク質(Sタンパク質)が“先兵”になる。Sタンパク質の「遺伝情報」が壊れないように脂質に包み込んで筋肉に注射し、体内にウイルス抗体をつくる。遺伝情報がワクチンの有効成分という前例のないワクチンだ。副作用が高熱や腕の痛みなら我慢できる。ただ接種直後の深刻なアナフィラキシー・ショックも報告されている。

 以前、強力な咳止めシロップを飲んで、帰宅途中の地下鉄内で急に具合が悪くなって救急搬送されたことがある。服用中の向精神薬との併用で迷走神経が強く作動して低血圧状態になったのが原因だった。

 “ああなったら怖い”。初回接種の直前、問診した医師にそのときの模様を事細かに話した。「コロナワクチンでは、そんなことにはなりません。大丈夫」。医師は笑顔で応じた。

 5月18日。2回目の接種。問診した医師は、1回目の接種後の体の様子を尋ねた。「注射後に少し痛みがあった程度です」。

 今回の打ち手は女性の看護師さん。「左手の力を抜いてください」。左手をだらりとさせたかと思うと、針がブスっと刺さった。1回目よりも深かったか。会話はなかった。

 別室で17分ほど待機した後、妻の運転で帰宅した。2回目の後は、注射跡周辺の痛みと腫れぼったさが1回目の後よりも、きつい気がしている。

【養父 一馬】

関連記事