2024年04月25日( 木 )

「我が世の春」も終わりか、スーパーゼネコン5社が減収減益(前)

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 5月14日、鹿島建設が決算発表を行い、上場スーパーゼネコン4社の決算が出そろった。竹中工務店(12月決算かつ非上場)を含めた5社は軒並み減収減益となり、受注高も減少。オリンピック関連の工事が完了したことや、コロナ禍で海外工事が減少したことなどが要因となっている。依然として繰越工事は増加傾向にあり、大都市での再開発などを筆頭とする大型工事が増加していることがうかがえる。今期は5社とも過去6年間で最低の利益額を予想。いずれも、「競争環境の激化」を懸念材料として挙げている。5社の直近決算を見てみよう。

【清水建設(株)】2割減益、今期も大幅減益予想

 2021年3月期は売上高1兆4,564億円(前期比14.2%減)、経常利益1,054億円(同23.6%減)、最終利益771億円(同22.0%減)を計上。減収減益となった。

 同期の国内受注は、上下水道や道路などの土木工事が前期を大きく上回ったほか、事務所・庁舎なども堅調だったが、宿泊施設や工場、住宅が落ち込んだ。また、国内建築工事および海外工事の採算悪化から大幅減益となった。次期繰越工事としては、「虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業に係るA街区・B-2街区施設建築物等新築建築工事」などがあり、次期繰越高は1兆9,462億円(同2.5%減)となった。

 今期は国内の建築工事受注が増加することで、1兆3,000億円(前期比15.7%増)の受注高(個別)を予想。売上高1兆5,500億円、経常利益770億円、最終利益580億円を予想している。

清水建設(株)
清水建設(株)

【(株)竹中工務店】利益半減、「民間工事減」課題に

 20年12月期は売上高1兆2,377億円(前期比8.5%減)、経常利益469億円(同47.5%減)、最終利益305億円(同55.7%減)を計上。建設事業において工事利益が減少したことなどから、減収減益となった。

 同期の受注高(建設事業)は1兆1,466億円と前期から12.3%減少。竹中工務店単独では、土木工事が前期から100億円余増加したが、建築工事の落ち込みにより、受注高が減少した。次期繰越高もわずかながら減少した。

 なお、手持工事高は1兆2,849億円となっており、主な手持工事は「八重洲二丁目北地区市街地再開発事業」や阪急電鉄、日本郵便それぞれから受注した梅田(大阪市)の開発など。今期は、受注高1兆2,000億円(前期比4.6%増)を見込んでいるほか、売上高1兆2,650億円(2.2%増)と増収予想。しかし、経常利益は420億円(同10.6%減)、最終利益は295億円(同3.4%減)と、大幅減益となった前期からさらに減益を予想している。建設市場の縮小による競争激化、宿泊需要の減少による開発事業への影響などを課題に挙げた。

(株)竹中工務店
(株)竹中工務店

【(株)大林組】海外受注半減で減収減益

 21年3月期は熊本城天守閣復旧整備や「みずほ丸の内タワー」の完工により、売上高1兆7,668億円(前期比14.8%減)、経常利益1,287億円(同19.0%減)、最終利益987億円(同12.7%減)を計上。大型工事があった前期からの反動、コロナ禍の工事中断の影響から、減収減益となった。

 同期は主に海外受注(3,076億円)が53.9%の大幅減となったほか、国内でも建築工事が17.8%減となったことから、受注高は1兆9,486億円(同13.0%減)となった。次期繰越高は都内の再開発や新球場(北海道)をはじめとする民間建築工事が20.9%増、官公庁土木工事が28.8%増となり、2兆1,092億円を計上した。

 今期は完工高の増加により売上高1兆9,100億円(前期比8.1%増)と増収を見込むが、粗利の減少や販管費の増加などから、経常利益は985億円(同23.5%減)、最終利益は715億円(同27.6%)と、前期に続き大幅減益を予想。受注高は1兆9,900億円、建築・土木ともに国内の落ち込みを海外でカバーするかたちで2.1%増を予想している。

(株)大林組
(株)大林組

(つづく)

【永上 隼人】

(後)

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