2024年04月19日( 金 )

菅義偉氏が宰相失格であるわけ

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事を抜粋して紹介する。今回は、「菅氏は自分自身の利益のために五輪開催を強行しようとしている。五輪開催強行しか、生き残りの道がないと判断している」と訴えた5月31日付の記事を紹介する。

フジテレビ番組「Mr.サンデー」で木村太郎氏がおかしな数値説明をした。国内でワクチン接種した601万人のうち、接種後に85人が死亡したことが公表された。他方、国内での陽性確認者数74.2万人に対して死者数は1.3万人。この数値から計算される致死率は1.74%。他方、ワクチン接種の致死率は0.0014%。1.74は0.0014の1,243倍。木村氏はこの数値を比較してワクチン接種のリスクが低いと主張した。

木村氏は算数ができないようだ。日本のコロナ死者数は1万2,920人。日本の人口は1億2,612万人。日本人がワクチン接種も何もせず、コロナで死亡する確率は0.010%。これに対して、ワクチン接種をして死亡する確率は601万人が接種して85人だから、0.0014%。両者の比率は1対7。

ワクチン接種を受けた人の死亡事例は増える可能性がある。ワクチン接種の長期的な副作用は確認されていない。ワクチンを受けずに過ごして致死率が0.01%。ワクチンを受けた場合のすでに明らかにされている致死率が0.0014%。この数字を比較してみたとき、リスクのあるワクチン接種を受けなければならないと考える人がどれほどいるか。

これまでの状況では、高齢でない健常者は新型コロナウイルス感染症に罹患しても重症化する可能性は極めて低い。他方、新種のワクチンを接種した場合の長期のリスクは重大だ。公共の電波を使って間違いの数値解釈を流布することは問題。1,200倍の差でなく7倍の差である。しかも、ワクチン接種の長期的なリスクは無視できないほど大きいと考えられる。

新種のワクチンは、体内でコロナウイルスのスパイクたんぱく質を産生するメカニズムを体内に注入するもの。そのメカニズムが長期間作動することによって免疫暴走、免疫機能不全が生じる、あるいは、がん発生リスクが高まることが懸念される。

感染対策の基本は感染の原因になる行動を控えることと、自分自身の免疫能力を高めることだ。基礎疾患をもち、高齢である人においては、ワクチン接種メリットがワクチン接種リスクを上回る場合があるだろう。ワクチン接種を全面的に否定するものではないが、ワクチン接種の長期的副作用に対して十分な警戒が求められる。ワクチン万能論が流布されているが、専門家から重大な警鐘が鳴らされていることを見落としてはならない。

アストラゼネカ社製ワクチンはウイルスベクター型。コロナウイルスのDNAそのものを体内に注入し、このDNAが体内に残存することになるから、より強い警戒が必要とされる。

元新潟大学医学部教授で同大名誉教授の岡田正彦氏はアストラゼネカ社が治験を行ったブラジル、英国、南アフリカでコロナ変異株が出現した事実を指摘する。岡田教授は、ワクチンがあまりに強すぎて、それに対抗するためにウイルスが過剰に変異を起こしたのではないかとの考えを示す。

ワクチン研究の専門家で、ビル&メリンダ財団でワクチン部上級プログラム局長を務めていたギアート・バンデン・ボッシュ博士は、コロナワクチン接種が、接種を受けた人が備えている本来の免疫能力を消してしまうことを警告する(https://bit.ly/3fNaSOw)。

改めて数字を示すが、日本人がコロナで死亡する確率は、これまでの実績に従えば、0.01%。他方、ワクチン接種後に死亡した人は接種を受けた人の0.0014%。

ワクチン接種による問題はまだ全容が明らかになっていない。これから10年の間に、重大な問題が次々に浮上する可能性がないといえない。

もともと、日本人で新型コロナ陽性になる確率は、これまでの実績に従えば0.59%。ワクチンの重大リスクを踏まえれば、高齢、基礎疾患という条件にあてはまらない場合には、ワクチンを接種しないことが賢明であると判断される。

IOC幹部=患部が、「緊急事態宣言が発出されても五輪開催は可能」「アルマゲドン(世界の滅亡)にでも見舞われない限り、東京五輪は計画通りに開催される」などの暴言を吐いている。IOCと五輪の正体がくっきりと浮かび上がる。五輪憲章、オリンピズムの根本原則、平和の祭典などの言葉が詐欺師集団の釣り文句であることが誰の目にもはっきりとわかるようになった。

「威力によって自己の経済的利益を追求する集団」は「反社会的勢力」である。日本国民の命や健康を犠牲にすることなど意に介さない。ただひたすら、自己の利益拡大を追求する。五輪開催の費用は各国に負担させる。その負担の上に成り立つ五輪放映権をテレビ局に高額で売り払う。世界最悪の悪行ビジネスモデルと言って過言でない。

五輪を開催すれば法外なテレビ放映権料が入る。保険に加入していても、大会中止になれば収入金額は大幅に減少するだろう。だから、人にどれだけ迷惑をかけようとも、日本国民の命や健康が奪われようとも、五輪開催に突き進む。

五輪が開催されるのは日本。日本が領土主権をもつなら、日本で開催される興行の可否を決定する最終権限は日本政府にある。当然のことだ。いかなる事情があるにせよ、日本政府が日本国内での開催を認めなければ開催できない。それが国家主権というもの。

日本政府が開催を中止すると決定すれば、それが最終決定になる。IOCが異論を差し挟むなら、紛争処理を行えばよい。当たり前のこと。

菅首相が五輪開催の最終決定権がIOCにあるとするのはウソだ。日本領土で開催される興行の開催可否最終決定権は日本政府にある。これを菅氏が認識していないわけがない。つまり、五輪開催はIOCと菅内閣の「共謀事項」だ。菅首相が東京五輪開催強行の意思を有している。これが五輪開催強行スタンスの主因だ。

菅氏はIOCのスタンスを利用しているのだ。菅氏は自分自身の利益のために五輪開催を強行しようとしている。五輪開催強行しか、生き残りの道がないと判断している。五輪については日本国民の圧倒的多数が開催反対の意思を有している。それでも開催強行に向けて突き進むのは、開催強行しか、自分自身の任期を引き延ばす方法がないと判断しているからだ。

自分自身の利益のために主権者の意思を踏みにじる。この1点だけを捉えてみても、菅義偉氏は宰相失格だ。

五輪開催を強行すれば、五輪がそれなりに盛り上がる。この盛り上がりがあれば、衆院総選挙を乗り切ることができる。衆院選を乗り切ることができれば、自民党総裁の地位にとどまることができる。それしか考えていない。あまりにも浅はかな宰相である。

国民が懸念しているのは、五輪開催で海外から9万人規模の人が流入すれば、必ず変異株が流入するであろうこと。その変異株が新たな感染拡大を引き起こす。ワクチンは変異株に有効でない可能性がある。新しい変異株がより強い感染力と、より強い毒性を有する可能性もある。

感染拡大と緊急事態宣言は巨大な経済損失をもたらす。野村総研・木内登英氏の試算は、五輪中止がもたらす経済損失よりも緊急事態宣言発出がもたらす経済損失のほうがはるかに大きいことを指摘するもの。

国民経済の視点に立っても五輪中止が適正であることを主張するもの。菅義偉氏は自己利益だけを追求する行動を改めて、日本国民の総意に従う行動を取るべきだ。


▼関連リンク
植草一秀の『知られざる真実』

関連記事