2024年03月29日( 金 )

五輪協賛企業製品不買運動のススメ

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事を抜粋して紹介する。今回は、「日本の国民は五輪反対の行動を起こす必要がある。五輪スポンサーに対する不買運動、ボイコット運動を粛々と展開することが、もっとも強力な抵抗手段になる」と訴えた6月11日付の記事を紹介する。

社会を敵に回して自己の利益を追求する。

日本政府は2007年、犯罪対策閣僚会議の下に設置された暴力団資金源など総合対策ワーキングチームにおける検討を経て、企業が反社会的勢力による被害を防止するための基本的な理念や具体的な対応について、
「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」
http://www.moj.go.jp/content/000061957.pdf
を取りまとめた。

この指針において、「反社会的勢力」とは、
「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団または個人」
と定義した。

菅義偉氏が出席した「桜を見る会」に反社会的勢力の構成員が参加していたのではないかとの疑惑がある。
菅義偉氏はその人物と記念写真の撮影に応じたのではないかとの証拠写真もネット上には流布されている。

この点について問われた菅義偉氏は、官房長官時代の19年11月27日の記者会見で、
「『反社会勢力』についてはさまざまな場面で使われることがあり、定義は一義的に定まっているわけではないと承知しております」
と述べた。

しかし、上記政府文書において、反社会的勢力について定義を明示している。
菅氏はいつも答えるべき質問に答えない。

答弁拒否は菅義偉氏の得意技。
菅義偉氏と反社会的勢力との関りについては、多くの人物、媒体が、肯定的に記述してきている実態がある。

それはさておき、日本政府が定義した反社会的勢力とは、
「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団または個人」
である。

IOCは暴力を用いてはいないように見えるが、
「威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団」
の定義はピタリとあてはまるように思われる。

「平和の祭典」と言いながら、コロナで人の命と健康が奪われる興行を強引に開催しようとしている。
これは「詐欺的手法」。

日本政府や日本の五輪組織委員会が開催断念を決定する場合には、IOCが高額賠償金を請求することが、さまざまなかたちで仄めかされている。
「威力を駆使しての経済的利益追求」
と表現できる。

IOCが五輪開催を強行しようとしている理由は、巨額の放映権料を獲得すること。

五輪開催の費用は開催国やスポンサー任せ。
「濡れ手に粟」の「詐欺的ビジネス」だ。
単なる営利興行であるから、日本国民が血税で費用を負担する必要はない。

こんなスポーツ興行にうつつを抜かす前に、コロナ感染収束を実現し、コロナで生活苦に陥っている国民の生活を支えるべきだ。
コロナ禍で生活が立ち行かないというのに、75歳以上高齢者の医療費窓口負担を1割負担から2割負担に引き上げる法改定を強行した。
この制度変更で節減できる政府支出は1,200億円だという。

五輪に兆円単位の国費を投入している。
20年度は補正予算で73兆円の真水支出を追加した。
GoToに2.7兆円もの国費を投下する余裕があるなら、医療費自己負担の引き上げを見送るべきだ。

医療費1割負担の2割負担への引き上げは、本人にとって負担の10割増だ。
負担が1割増えるのではない。
負担は倍増する。

菅義偉氏は自分の政治的利益のため、IOCと五輪組織委員会は自己の利益のために五輪開催を強行する。
国民は自分でできる抵抗戦略を実行すべきだ。

まずは、大音響聖火リレー巨大車列企業に対する不買運動から始めるべきだ。
五輪エンブレムを表記した企業の製品をボイコットする。
主権者として可能な抵抗運動を広げることには大きな意味がある。

日本の主権者の大半は五輪開催を断念すべきだと判断している。
JOCのなかにも数は少ないが正論を堂々と述べる優れた人物は存在する。
その代表が山口香理事・筑波大学教授。

五輪組織委は会長・森喜朗氏が女性蔑視発言で引責辞任に追い込まれた。
その後、五輪組織委員会は女性理事を大幅増員した。

当然のことながら、JOCの山口香氏が組織委の理事に登用される必要があった。
ところが、組織委は山口氏を理事に起用しなかった。
あまりにも姑息。
本来は、山口香氏を五輪組織委会長に登用すべきだった。

日本にも正論を提示する人材が存在することを世界にアピールできた。
しかし、当然のことながら、私利私欲の五輪組織委員会は山口氏起用を忌避。

山口香氏はニューズウイーク誌のインタビューで
「今回の五輪は危険でアンフェア(不公平)なものになる」
と語った。
https://bit.ly/3cyERt4

圧倒的多数の国民が東京五輪を開催すべきでないと判断している。
それにもかかわらず、菅内閣はこの主権者の意思を踏みにじる。

質問に対してまともに答えない。
これは議会制民主主義国家の首相ではない。
単なる筋の悪い独裁者でしかない。

山口香氏は上記記事のなかでこう指摘する。
「政府や組織委員会、JOCからはこれまで一度も、もしかしたらできないかもしれない、という話が出たことがない。

それは、パリ行きの飛行機がいったん飛んだらパリに着陸することだけを考えろというようなもので、途中で何かあっても、違うところに降りたり引き返したりすることはないというマインドなんですよ。

飛行機は、天候が悪くても飛ぶことはある。
でもそのときは必ず、状況によって引き返すこともありますとアナウンスされる。
途中で何かあっても、引き返さないで突っ込みますと言われたら、普通はみんな搭乗しない。

『五輪を開催しない』という選択肢をもたずに政府が飛んでいることに、国民はすごく不安を感じていると思う」

「国民の命と健康を最優先に考える」ことは、国民の命と健康がリスクに晒される場合には五輪を開催しないという結論をもたらす。
しかし、そのためには、判定基準が必要。
だから、多くの国会議員が国権の最高機関である国会の質疑において、菅首相にこの点を問う。

しかし、菅義偉氏は何も答えない。
暴動が起きておかしくないレベルの議会制民主主義の機能不全を示している。

山口氏はインタビューで次のように述べる。
「五輪はきっと開催されると思う。
でも開催にあたっては、『今回のオリンピックは安全じゃなくて、危険です』から入ったほうが良い。

危険だからこういう点に気を付けてください、安全を確認しながら少しずつ進んで今回は乗り切りましょう、と。
政府やJOCが『安心・安全』と言い続けられるのは、日本人がおとなしいからですよね。」
そうだ、不当におとなしすぎる。

暴動が起きておかしくないレベル。
だからこそ、日本の国民は五輪反対の行動を起こす必要がある。

それが、五輪スポンサーに対する不買運動、ボイコット。
日本国民は反社会的勢力でないから暴力に訴えない。
粛々と不買運動、ボイコット運動を展開する。
これが、もっとも強力な抵抗手段になる。


▼関連リンク
植草一秀の『知られざる真実』

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