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2021年06月28日 09:45

山口FGの吉村猛会長の再任を否決~その真意を検証する

 山口フィナンシャルグループ(FG)は25日、臨時取締役会で、吉村猛会長代表取締役会長グループCEO(61歳)の再任案が否決されたと発表した。吉村氏は代表権のない取締役となり、事実上解任となった。吉村氏の解任理由として、「十分な社内合意がないまま、新規事業を積極的に進めようとする姿勢が問題視された」ことが挙げられたという。

 下関市竹崎町の本店で株主総会後に開かれた臨時取締役会には、【表1】の通り、社外取締役7人を含む取締役10人全員が出席。吉村氏の代表取締役選任案が提出されたが、過半数の賛成が得られず、再任が否決された。吉村氏は同日午前10時から開催された株主総会で取締役としては選任されていた。

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 椋梨敬介代表取締役社長(51歳)ら3人が、同日午後6時から山口FGの本店で記者会見し、経緯を説明した。

 解任の理由について、「吉村氏の新規事業の進め方に対して、リスク認識をはじめとした社内の十分な検討と合意形成を求める声が取締役会から多数上がった」といい、「取締役会では十分な検討と合意形成を求める意見が多く出され、長時間にわたり議論を行ったが、合意点は見い出せなかった」と述べた。

 椋梨社長は、「すべての取締役が良識ある判断を行った結果、今回の結論に至った」とした。椋梨社長は吉村氏に代わってグループCEO(最高経営責任者)となり、「吉村前会長はグループの改革を主導し、将来への道標として経営計画を策定していただいたと認識している。経営方式に変わりはなく、新体制では対話を重視し、これまで以上に改革に積極的かつスピーディーに取り組んでいく」と強調。一部で指摘されていた女性問題が理由ではないとし、会見を終えたという。

 上記は山口FGの吉村猛会長の再任を否決した経緯である。これから私の推測を含めて、山口FGの経営トップの交代劇を検証していくことにしたい。

【表2】は山口FG(含む傘下3行)トップの経歴である。

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~この表から見えるもの~
◆吉村会長が「十分な社内合意がないまま新規事業を積極的に進めようとする姿勢が問題視された」となっているが、その新規事業を積極的に推進していたのは、2007年に入行の芦谷志保里氏である。椋梨社長は吉村会長が再任されなかったことに対して、結果的には芦谷氏による新規事業の失敗の責任を吉村氏が負ったといえよう。
◆吉村氏が山口FGの社長兼山口銀行代表取締役頭取となったのは2016年6月であり、5年の実績があるのも事実。しかし、今回、吉村氏の後を受けて、山口FGのCEOとなった椋梨氏が社長となったのは20年6月であり、わずか1年である。経費節減のため、対外的には顧客の利便性を損なう社外ATMの廃止や、社内的には残業料の節減などを実施した椋梨氏が、吉村氏の独断専行に対して意見を述べたという話は伝わってきておらず、唯々諾々として従っていたというのが実情であり、その責任も重いのではないだろうか。
◆吉村氏は11年6月、常務取締役徳山支店長となっており、第一生命の正下文子特別調査役と接触があったのは間違いない事実であり、吉村氏が山口FGの社長兼山口銀行頭取となったのも、それが縁であったといえるのではないだろうか。

<まとめ>
第一生命保険は20年10月2日、女性保険外交員の金融詐欺事件を発表。その女性外交員は西日本マーケット統括部徳山分室(山口県周南市岐山通2-1−3)に勤務していた正下特別調査役。客に架空の金融取引をもちかけて不正に資金を集めていたことが判明し、7月3日付けで懲戒解雇された。第一生命は、正下元特別調査役を詐欺容疑で山口県警周南署に刑事告発している。その後の調査で、第一生命は、被害者が3人増えて計24人、被害額は9,200万円増の計19億5,100万円になったことを公表している。その後第一生命は被害者全員に対して裁判費用を除く全額を補てんすることを発表している。

 今回、吉村会長が取締役への降格を受け入れたのは、山口FGのCEOとして刑事告訴されることを避けるためであり、金融当局のお墨付きもあったとすれば辻褄が合う。吉村氏は取締役になっても実権は握ることができる。山口FGは【表3】の通り、今も田中耕三相談役による「実録 頭取交替」のトラウマからから逃げられないでいるというのが実態ではないだろうか。

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 【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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