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2021年07月08日 14:58

山口FG、吉村猛氏の再任を否決 同グループの行く末を占う(前)

 山口フィナンシャルグループ(FG)は代表取締役会長グループCEOだった吉村猛氏を解任。多くのメディアが一斉に報じたが、解任をめぐる真相は藪の中。同グループは生まれ変わることができるのだろうか。独自の情報収集と視点により、同グループを取り巻く課題と今後の行方を分析する。

吉村氏自身が取締役への降格を提案?

 山口フィナンシャルグループ(FG)は6月25日、第15期定時株主総会を山口銀行本店(山口県下関市)の8階講堂で開催した。5月20日付で発送された「定時株主総会招集ご通知」には下記の内容が記載されていた。

 山口FGの椋梨敬介社長は、株主総会後に開催された臨時取締役会で吉村猛代表取締役会長グループCEO(61歳)の再任案が否決されたと発表した。吉村氏は代表権のない取締役となり、事実上の解任となった。吉村氏の解任理由として、「十分な社内合意がないまま、新規事業を積極的に進めようとする姿勢が問題視された」ことが挙がったという。吉村氏は同日午前に開催された株主総会で取締役に選任されていた。

 【表1】は臨時取締役会に出席した取締役のメンバー表である。
 株主総会後に下関市竹崎町の本店で開かれた臨時取締役会には、社外取締役7人を含む取締役10人全員が出席している。社外取締役のうち、新任は山本謙宇部興産(株)会長、三上智子日本マイクロソフト(株)執行役員コーポレートソリューション事業本部長。はたして、初めて取締役会議に出席したこの2人が、いきなり裁決に加わるだけの資料を誰から入手していたのかという疑問が湧く。新任の2人を指名したのは吉村氏とみられる。

 永沢裕美子フォスター・フォーラム世話人、柳川範之東京大学大学院経済学研究科教授、末松弥奈子(株)ジャパンタイムズ代表取締役会長兼社長の3人を再指名したのも吉村氏である。また、椋梨氏を社長に推薦したのは吉村氏。そうすると、一体誰が吉村氏の再任拒否を提案したのだろうかとの疑問も湧く。

 これはあくまでも私の推測であるが、株主総会で取締役に選任されており、取締役を辞任することはできない。そのため吉村氏自身が取締役への降格を提案。そのまま会長を続けるべきだとの意見もあったが、吉村氏の提案が認められたということではないだろうか。
 吉村氏の代表取締役選任案が提出されたが、過半数の賛成が得られず、再任が否決されたとの発表は、表面を取り繕うためだったと考えるのが自然ではないだろうか。

問われる唯々諾々と従っていた責任

 【表2】は山口FG(傘下3行含む)の経営トップ経歴表である。

 吉村氏については「十分な社内合意がないまま、新規事業を積極的に進めようとする姿勢が問題視された」というが、その新規事業を推進していたのは、2007年に入行の芦谷志保里氏である。結果的に、芦谷氏による新規事業の失敗の責任を吉村氏が負ったといえるだろう。

 吉村氏が山口FGの社長兼山口銀行代表取締役頭取となったのは2016年6月であり、5年の実績があるのも事実。しかし、今回、吉村氏の後を受けて山口FGの代表取締役社長グループCEOとなった椋梨氏が社長となったのは20年6月であり、実績はわずか1年。経費節減のため、対外的には顧客の利便性を損なう社外ATMの廃止や、社内的には残業代の節減など、吉村氏の独断専行に対して意見を述べたといった話は伝わってきておらず、唯々諾々として従っていたというのが実情であり、その責任も重いのではないだろうか。
 吉村氏は11年6月、山口銀行常務取締役徳山支店長となり、第一生命の正下文子特別調査役と接触があった。吉村氏が山口FG社長兼山口銀行頭取となったのも、そうした縁があったからといえるのではないだろうか。

(つづく)

【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

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