山口FG吉村猛取締役、ご苦労さまでした(3)~山口FG総括
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山口フィナンシャルグループ(以下、山口FG)吉村猛取締役が代表取締役を解任された大きな要因の1つに、社外取締役の存在があった。
吉村氏が選んだ社外取締役
山口FG役員10名のうち、7名が社外取締役で3名が社内役員だ。通常は社内役員の割合が高くなるが、複数の山口FG内部関係者(OB含む)は、「社外取締役の人選は、すべて吉村氏の意向に沿ったものであります」という。山口FGの社外取締役の定義には、「当社グループの出身ではなく、当社との間に人的関係、資本的関係または取引関係その他利害関係はありません」と明記されている。
社外取締役のなかでも一際存在感を示しているのが、佃和夫氏だ。佃氏は、三菱重工業(株)の代表取締役社長および取締役会長を経験し、現・特別顧問として君臨する我が国経済界の重鎮の1人である。佃氏は山口県熊毛町(現・周南市)出身であり、2013年6月山口FG監査役、15年6月に監査等委員を兼ねた取締役に就任し、現在に至る。
ほか6名の社外取締役も錚々たる経歴と見識の持ち主であるものの、「佃氏は別格」という声が圧倒的だ。佃氏を社外取締役に選んだのは、佃氏と吉村氏が東京大学の先輩後輩(工学部・経済学部)の関係であり、同じ山口県人であるためと推察される。三菱重工業は下関造船所を構えるなど、山口県と深い縁がある。
「社内周辺で囁かれているのは、吉村氏を代表取締役から下ろすために、福田進取締役(常勤監査等委員)が水面下で、吉村氏の不透明な事業推進や不祥事関係の情報を集めて精査したということです。その結果を佃氏に事前に報告したのです。影響力のある佃氏へ事前に密かに情報を伝えたことで、社外取締役7名は“吉村氏は代表に相応しくない”と判断を下したと言われています」(前出関係者)─自ら選んだ社外取締役は「吉村解任」へと舵を切り、“身内”であった福田氏に内応されていた。つまり、吉村氏は自爆した格好となったのである。
自作自演でも強力なインパクト
当社に届いた山口FGの「内部告発状」も、Net-IB NEWSに内容と写真を掲載しているため、ご一読いただきたい。
当初は、退任した元執行役員が内部告発状を投函したという憶測も流れ、当事者とされた人物が現在所属する企業へ問い合わせたが、その人物が我々の前に現れることはなかった。「告発状の投函者とされた人物も強権発動などパワハラの連続でした」(前出関係者)。
一方、自作自演とする推測も浮上してきた。要するに当社の情報発信を利用して、あえて自社の暗部を世間に晒すこと─まさに「マッチポンプ」の手法を使い、吉村氏をはじめとする山口FGの醜態を見せて既成事実化することを実行したという推測だ。
当社が利用されたという見解については、確かにその分析も正しいが、一方で独自の取材で事実確認を実施し、より深い情報を発信できたことも事実である。「吉村氏の進退について」を意識することなく、ひたすら山口FG社内からの告発が、“事実か虚構か”を取材し発信してきた。
発信を続けると、また新たな内部情報がもたらされるなど、ニュースソースには事欠かなかった。それは、山口FG社内では吉村体制への不満と不信感が膨大になっていたことの証でもある。つまり吉村体制は限界に達しており、体制が瓦解するのは時間の問題であったことは明らかだ。山口FGからの内部告発状は、社内に強力なインパクトと吉村氏に大きなダメージを与えた。
(つづく)
【特別取材班】
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