2024年04月20日( 土 )

「決して夢物語ではない」――県の調査で接続実現に向けて大きな一歩

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福岡市地下鉄福岡空港線・JR九州長者原駅 接続促進期成会  会長
篠栗町長 三浦 正 氏

都市圏の発展には複数ルートが必要不可欠

 ――今年2月に「福岡市地下鉄福岡空港線・JR九州長者原駅接続促進期成会」(以下、期成会)が発足し、三浦町長がその会長になられましたが、会長に就任された経緯についてお聞かせください。

三浦 正 氏
三浦 正 氏

 三浦 本期成会は、福岡市地下鉄福岡空港駅とJR九州長者原駅の接続促進を図ることを目的に設立されたもので、糟屋地区の6町(宇美町、篠栗町、志免町、須恵町、久山町、粕屋町)と、筑豊地区の2市3町(直方市、飯塚市、小竹町、鞍手町、桂川町)の計2市9町で組織されています。接続実現に向けて、国会や関係官公庁、その他関係機関に対する要望および陳情などを行っていくことを主な事業活動としており、本期成会の発足後すぐに、小川洋・福岡県知事(当時)と吉松源昭・福岡県議会議長(当時)に対して、接続実現に向けた調査などの要望をさせていただいています。

 本期成会の会長に私が就任した経緯ですが、もともとこうした福岡空港駅と長者原駅の接続に向けての動きは、筑豊地区―とくに飯塚商工会議所を中心とした飯塚市の方々から始まり、そこにセムグループ会長・八頭司正典氏や吉松県議なども加わって、段々と大きくなっていきました。そして、今年2月の本期成会の発足につながっていくのですが、「誰が会長を務めるか」を飯塚市長・片峯誠氏とも協議していくなかで、もともとの思いは筑豊地区が発端ではありますが、実際に接続する場所は糟屋郡になりますから、糟屋郡町長会の会長である私が、期成会の会長を引き受けた次第です。そして片峯市長には、副会長になっていただいています。

 なお、発足した期成会ですが、残念ながらコロナ禍の関係で、書面でしか設立総会を開催できていません。本来なら一同が介して顔合わせを行い、改めて気持ちを1つにして機運を高めていきたいところですが、こればかりはなかなか難しいところです。

 ――期成会としては、今回検討されている福岡空港駅と長者原駅との接続について、どのような期待をもたれているのでしょうか。

 三浦 正直申し上げて、今回の接続は来年や再来年にすぐ実現するような類のものではなく、ある程度の中長期にわたる将来ビジョンとして、きちんと考えていかなければなりません。

 日本のどの大都市の都市圏でもそうですが、中心部と周辺とを結ぶルートというのは、複数あればあるほど、都市機能の強化につながりますし、その各ルートの沿線の発展を促していきます。たとえば関西でいえば、京都と大阪間にはJRと阪急と京阪と3つの鉄軌道がありますし、大阪と神戸間にしても、JRや阪急、阪神など複数の鉄軌道で結ばれています。このように、ルートがいくつもあるということは、たとえ短い距離であっても、その沿線の発展具合というものが各段に変わってくるという期待感もあります。

 そのため今回の接続は、福岡都市圏の中心部である博多や天神と、福岡空港駅や福北ゆたか線を経由して、糟屋郡の沿線エリア、さらにはその先の筑豊エリアまでが新たなルートで直接結ばれることで、都市力の強化や沿線エリアのさらなる活性化につながるものだと考えています。今回の接続についての関心が最も高いのは、新ルートの沿線エリアとなる志免町や粕屋町、須恵町の方々だと思いますが、筑豊地区の市町の皆さんも大変期待していらっしゃると思います。

 ――期成会からの要望を受けて、6月に福岡県が公募型プロポーザル方式で、実現性を探る基礎調査に乗り出しました。

 三浦 今回、いろいろな方々のお力添えもあって、県が6月議会で3,012万円の補正予算を計上し、調査に動いてくれることになりました。大変ありがたいと思っています。これから、「どんなルートを通ればいいか」「どんな仕様がいいのか」といった、ルートや構造型式、費用対効果や採算性、事業スキームなど、構想全体についての具体的な実現性などが、調査結果としてまとめられていくと思います。

 接続の実現性に関しては、当初から「相当お金がかかるよ」「難しいんじゃない」みたいなことを言われており、眉唾的な見方も多かったと思います。ですが今回、県が基礎調査に乗り出したことで、実現に向けての大きな一歩を踏み出したのではないでしょうか。

(つづく)

【坂田 憲治】


<プロフィール>
三浦 正
(みうら・ただし)
1954年生まれ。福岡高校から九州大学に進学。大学卒業後に福岡銀行に入行し、主に人事畑を歩む。50歳を機に退職後、2004年11月に篠栗町長に立候補して初当選。現在5期目。

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