東京を照らす松明となるか~大規模再開発「TOKYO TORCH」~
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インフラ維持しながらの再開発
TOKYO TORCHはインフラ機能を維持したままの大規模再開発として、施工プロセスにも注目が集まっている。
同プロジェクトは16年2月に国交省が国家戦略民間都市再生事業(常盤橋街区再開発プロジェクト)に係る計画として、都市再生特別措置法第21条第1項の認定を受けたことから始まる。連鎖型再開発の活用として、建替えを段階的に行うことで、都心を支える広域的な重要インフラの機能を停止することなく再編する先駆的な機能強化を実施。東京の都市戦略「世界をリードするグローバル都市の実現」に資する開発として、国際競争力強化と都市再生を目的にしている。
常盤橋タワー(A棟)は、18年に解体したJXビルおよび大和呉服橋ビルを解体して建設された。JXビルは1970年に竣工した商業テナントビル(旧・日鐵ビルヂング)。同ビルは09年に新日本製鐵が本社を移転し、その後、全館改修工事を経てJXビルにビル名が変更された。再開発にともない、JXビルのメインテナントだったJXホールディングスは、15年11月に「大手門タワー・JXビル」を建設して翌月に移転した。
JXビルと隣接する日本ビルは、商業テナントビルのほか、東京都下水道局銭瓶町ポンプ所や変電所とも一体化しており、インフラ機能も擁していた(図1)。
そのため、再開発事業においてはインフラ機能を継続的に維持する必要があった。地上のみの解体を行い、その跡地にはポンプ所単独の建物として新たに下水道局棟(D棟)が建設され、機能が移管された。
東京都下水道局によれば、東京都下水道局銭瓶町ポンプ所は66年の稼働開始から50年以上が経過しており、施設躯体、導水渠および設備機器は著しく老朽化していたが、民間の建物と一体化していたため、単独で再構築を行うことができなかった。しかし、今回の連鎖型再開発への参画により、ポンプ所としての機能を停止することなく再構築でき、街区の建物の再整備により、民間建物との合築構造が解消され、完全に独立した構造をもつポンプ所および建屋となることができたとしている。
また、同局は都心の下水道施設では、機能を維持したまま再構築するうえで必要となる代替の用地を取得することが困難なことが多いとし、このような下水道施設の周辺で新たなまちづくりが検討されている場合、まちづくりに参画することで再構築の円滑化につながっているとした。
(つづく)
【麓 由哉】
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