2024年04月20日( 土 )

糸島半島に秘められたポテンシャル、持続可能な地方創生へ

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長垂海浜公園
長垂海浜公園

もとは糸島郡だった、西区の一部

 糸島半島には福岡市西区の一部も含まれている。今宿は福岡市西区の西端エリアとして知られているが、もとは糸島郡今宿村だったということは意外と知られていない。

 今宿村は1941年10月に福岡市に編入された。農村だった今宿は、唐津街道の誕生によって宿場町として発展し、唐津街道筑前二十一宿の1つに数え上げられる。そんな今宿には伝統的なお祭りとして、太宰府や博多の祭りを彷彿とさせる「二宮神社玉せせり」「上町天満宮鬼すべ」「横町祇園神社大祭」「二宮神社夏越祭」がある。唐津街道がもたらした交流人口の増加とともに新しい文化情報も伝わり、今宿は小都会の雰囲気をまとうようになった。

 JR筑肥線、今宿駅周辺は飲食店からドラッグストアまで、商業施設が充実しており生活利便性が高い。また、糸島らしさが感じられる海岸線沿いには、「カルフォニアBBQビーチ」といった誘客効果を発揮するレジャースポットもあり、都会と田舎の中間的なまち―「トカイナカ」感にあふれている。

カルフォニアBBQビーチ
カルフォニアBBQビーチ

移動ツールの拡充でよかまちへ

トヨタC+pod
トヨタC+pod

 糸島の課題としては、糸島内での移動手段の少なさが挙げられる。駅から観光スポット、または各観光スポット間の移動は、車でないとスムーズにはいかない。また、車があったとしても、駐車スペースが限られており、場所によっては渋滞が慢性化している。

 こうした交通課題の解消に向けて率先して動いているのが、昭和グループをはじめとする62社(21年7月1日時点)で形成された「よかまちみらいプロジェクト」コンソーシアムだ。同プロジェクトでは、電動アシスト付レンタサイクル「よかチャリ」、超小型電気自動車「トヨタC+pod(シーポッド)」のシェアサービスなど、ゆったりと流れる糸島時間を考慮したうえでの移動手段の多様化が図られている。

 同時に、駐車場予約アプリ「akippa(アキッパ)」が契約されていない月極駐車場や個人宅の車庫・空き地・商業施設などの空きスペースの駐車場利用を進めており、回遊性は改善されつつある。

 もちろん、移動ツールの多様化は、糸島市民にも恩恵をもたらす。同プロジェクトの目玉となるオンデマンドバス「チョイソコよかまちみらい号」の運行は、自分で遠出することが困難になった移動難民支援と、市が提供する移動サービスの効率化とを両立させるものだ。

 8人乗りのよかまちみらい号は、既存のコミュニティバスより小型化を図ったことで、走行可能ルートの拡充と、それにともなうバス停数の増加を実現。市内在住者はスマートフォンアプリ「チョイソコ」に会員登録後、利用希望日やバス停、目的地をあらかじめ予約することで、ドアtoドアに近い移動が可能になる。

 それぞれの移動ツールは、移動支援アプリ「my route(マイルート)」と紐づけられることで、交通に関連する情報(最適ルートの案内、離発着時間・運賃の確認、予約・支払い、目的地周辺の飲食店・観光スポット情報など)の集約と利活用に役立てられる。

 たとえば、マイルートでよかチャリだからこそ立ち寄りやすい店舗を紹介し、そこで買い物をすると次回利用可能なデジタルチケット(お食事券、一日乗車券など)をもらえるなど、地元商店・地域交通の利用促進、移動ツールに応じたかたちでの景観発見(映えスポットの共有)といった「コト消費」の促進および地域の観光振興につながる。

【代 源太朗】

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