太陽光パネル「住宅義務化」は見送りも、30年にZEH・ZEB基準引き上げ図る
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太陽光パネル設置メリットと課題
太陽光パネルを住宅に設置するメリットは、夏のピークカットに効果的であることだ。また、建築主(施主)にとっては売電による収入が得られ、減価償却後は光熱費が低減される。国交省の試算によると、太陽光パネル(5kW)の導入コストを150万円とした場合、FIT期間中には光熱費が年間12万円、FIT期間終了後には年間6万円低減される。自家消費率30%として、設備投資を15年で回収できるとしている。
一方で、太陽光発電の住宅への設置義務化には課題もある。主に、個人がコストやリスクを負うものであり、地域や立地条件による発電量の違いがあること、導入後に建てられた建物の日陰となることで発電量や電気代の収支が低下するリスクがあること、太陽光パネルと屋上緑化では、屋根の面積で取り合いが起こることなどだ。これらは新築住宅への太陽光パネル設置義務化の見送りの原因ともなった。
検討会では、業界団体へのヒアリングも以下の通り行われた。
(一社)住宅生産団体連合会(以下、住団連)によると、「(一社)プレハブ建築協会の調査から、新築戸建住宅ではZEHの影響もあって太陽光パネルの供給率は高まっているが、集合住宅では、FIT買取価格の低下や卒FITの影響もあり供給率は低下傾向にある」としている。また、既存住宅では2012年をピークに供給率は減少傾向にあるという。
住団連は、住宅用の10kW未満の太陽光発電はFITの固定買取期間が10年間と短く、FIT価格の低下や設備価格の下げ止まりなどにより、初期投資費用や投資回収年数に対する建築主の不安があり、それらを払拭できる余剰電力の有効な使い方が示されていないため、自家消費を促すインセンティブの設定や住宅単体にとどまらない活用法の検討が必要としている。また、屋根勾配の方位や光害などの影響、建築者の発電事業者としての維持管理の責任などの課題もあるため、支援策を講じることで普及を進めるのが望ましいという。
加えて、既存住宅や高層マンションで搭載率を高めるためには、発電効率の向上や軽量化などを実現する次世代太陽光発電の開発を期待しており、蓄電システムの価格低減が必要だという。また、第三者所有モデルは建築主の初期投資を抑えるメリットはあるが、屋根上を改変すると住宅保証に影響する懸念があるため、住宅事業者としては慎重にならざるを得ないとしている。
【石井 ゆかり】
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