2024年04月19日( 金 )

こうすれば成功する!デジタルマーケティング(1)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ
法人情報へ

 前回(vol.38)は、SNSは交流ツールであり、情報はギフトであるべきだというお話をさせていただきました。このように、デジタルマーケティングに不可欠なのは、自己主張的な目線ではなく、「顧客のため」を考えることです。そして、この接点構築からより良い関係性へと、醸成させることに他なりません。顧客の欲しい情報を用意し、どのように自社の製品やサービスに至らせるのか、その導線を考えることこそ、中心的な事柄となります。

 マーケティングでは、サイトの訪問者が最終的に製品やサービスを購入したり、運営者が望むアクションを起こすことを「コンバージョン」(以下、CV)と呼びます。すべての顧客が、すぐに決断してくれるわけではありません。そこで重要なのが、「ナーチャリング」と呼ばれるものです。ナーチャリングは「育成」を意味するもので、顧客が望ましいCVに至るまでをアプローチすることを指します。たとえば、ウェブで情報サイトを見つけ、もっと詳しい情報が欲しいと先へ進めると、メールの登録を求められたりした経験があると思います。ここでサイト運営者は、顧客がサイトを離れた後も、メールを通して再度接点を構築することができます。有益情報やキャンペーンなどを活用して、CVへと誘導するというものです。

 ここで重要なのが、マーケティングにおいて基本的な考え方となるファネル(漏斗=ロウト)構造です。顧客には段階があり、最も望ましい顧客は最下層です。CVを行い、さらに高いロイヤリティや影響力をもっている顧客という層です。

マーケティングファネル

 上層部は、まだ関係性が浅い状況です。ここからナーチャリングを行い、下層へと向かわせます。ECサイトを例に考えてみましょう。皆さんも経験があるかもしれませんが、ネットで何か購入する際、かご(カート)に入れたものの、最後まで購入に至らなかったことがあると思います。その理由は、「今じゃないかな?」「ほかのメーカーの物はどうだろう?」などと躊躇してしまうからです。この「かごに入れたまま購入しない」顧客のことを、「かご落ち」顧客と呼びます。そこで「かご落ち」顧客に、5%オフの特別キャンペーン情報などを送るとどうなるでしょうか。実は、かなりの確率で購入に至ります。なぜなら、すでにかごに入っていて、最後の一押しを待っている状態だからです。新たな顧客を探すより、断然コストパフォーマンスに優れた見込客であるといえます。

 そして、CVしてくれた後も、顧客との関係性を保つことが大切になります。高いロイヤリティをもった顧客へと成長させ、ファンとして良い口コミをしてくれるなど、アドボカシー(擁護)のステージに到達させることが最も重要です。

 次回は、ここをより詳しく、顧客の消費行動を「旅」に見立てて考える「カスタマージャーニー」をお伝えいたします。不満のポイントを拾いに行く、購入しない理由を見つけるなど、具体策の手がかりになると思います。


<プロフィール>
岡 秀樹
(おか・ひでき)
(株)HOA 代表取締役/(株)BIRDS 代表取締役/(一社)まちはチームだ 代表理事
学生時代ロンドンにおいてシェアリングビジネスで起業する。2014年コワーキングスペース秘密基地を設立。55社を創業させ、新規事業開発をサポート。北九州市公式SNSのコンサルティング、小倉城のマーケティング戦略を担当。北九州地域DMO候補法人(Destination Marketing Organization)となる。企業の規模にかかわらず、デジタルマーケティング活用方法を指南。講演・コンサルティングを行っている。

(5)
(7)

月刊誌 I・Bまちづくりに記事を書きませんか?

福岡のまちに関すること、再開発に関すること、建設・不動産業界に関することなどをテーマにオリジナル記事を執筆いただける方を募集しております。

記事の内容は、インタビュー、エリア紹介、業界の課題、統計情報の分析などです。詳しくは掲載実績をご参照ください。

企画から取材、写真撮影、執筆までできる方を募集しております。また、こちらから内容をオーダーすることもございます。報酬は1記事1万円程度から。現在、業界に身を置いている方や趣味で再開発に興味がある方なども大歓迎です。

ご応募いただける場合は、こちらまで。その際、あらかじめ執筆した記事を添付いただけるとスムーズです。不明点ございましたらお気軽にお問い合わせください。(返信にお時間いただく可能性がございます)

関連記事