2024年04月25日( 木 )

コロナ禍でも活気みなぎる「鉄筋工業界」の現況(4)

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 「鉄筋工事は新しい建築方法が出ない限り未来にまで残り、なくならない」と語る(株)宮村鉄筋工業の宮村博良社長に、鉄筋工業界を取り巻く現状と将来展望などについて話を聞いた。

外国人労働者が長く働ける労働環境を整備

 ――外国人労働者の雇用の現状をお聞かせください。

鉄筋工事 作業員 イメージ 宮村博良氏(以下、宮村) 当社は20年前から外国人労働者を受け入れています。最初は中国人、次はタイ人、現在はフィリピン人を受け入れて雇用しています。母国の送り出し機関から技能実習生の在留資格で入国し、現在は19人を雇用していて、そのなかには7年ほど働いている人もいます。

 19人のうち10人は、技能実習期間の3年が経過し、特定技能の在留資格に変更するための試験を受けて特定技能1号に合格しました。

 職場でトラブルはなく、仕事熱心でしっかり働いてくれるので助かります。雇用条件は法律で定めているように日本人とまったく変わりませんので、収入も安定しています。

 さらに、1人につき1部屋の住居を用意しているので、快適な日常生活を過ごしています。彼らは母国に帰国せずに長く働いて、家族を日本に呼んで一緒に住むことを希望しているため、特定技能1号から2号へ変更するために必要な勉強も行っています。

業界の若返りを図る

 ――コロナ禍で建設現場の仕事が減る心配は?

 宮村 当社の取引先は名義人のスーパーゼネコン2社、中堅ゼネコン6社、九州の地場のゼネコンを入れると11社ありますから、今のところ仕事量が減ることはありません。しかし、請負単価が低いのは困ります。当社で人材を増やして職人を育て、当社と下請会社の社員の生活水準も上げるためには、現在の単価のままでは実現が困難となります。

 請負単価を上げてもらえれば、良い職人が育ち、良い仕事をしますから、結果的にゼネコンにも還元されることになります。早期に検討してほしいと思っています。

 ――今後の予定や業界の展望についてお聞かせください。

 宮村 業界全体をより良くするための活動に力を注ぎたいと思っています。私は現在、2つの役割をいただいています。福岡県鉄筋事業(協)理事長と、九州鉄筋工事業団体(連)会長です。

 業界の将来のために、鉄筋工の職人が入職しやすい労働環境の整備や、職人を育てて後継者を残せるようにして業界全体の若返りを図り、10年後も現在働いているすべての方が残れるように、信頼性のある仕組みづくりや組織活動、必要な陳情などに尽力します。

(了)

【聞き手・文:岡本 公一】

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