2024年04月20日( 土 )

三方よしの未来をつくる みつ葉グループが見据える未来

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司法書士法人 みつ葉グループ

10年で大手グループに

 急速に複雑化していく現代社会のなかで司法書士が取り扱う職域は拡大を続けている。逆にいえば顧客のニーズに対応できない司法書士法人は淘汰されているのが現状だ。そんななかで、登記・相続・債務整理をまとめて取り扱い業績を伸ばしているのが、司法書士法人みつ葉グループだ。

 同グループは2012年3月に代表の1人である島田雄左氏がたった100万円の元手から始めた小さな司法書士事務所だったが、ものの、10年で社員数約200名、売上高は20億円を超える大手グループへと変貌を遂げた。

顧客に寄り添う司法書士

宮城 誠 氏

 司法書士業務中心で経営を展開する同社だが、元来は弁護士法人、行政書士法人、土地家屋調査士法人、税理士事務所などの士業連携を重点的に行っていた。というのも、司法書士の中心業務である「登記」は、既得権を得ている大企業が取り計らうことが多いため、小さな司法書士事務所だと開拓が難しかった。そこで多方面に事業を繰り広げながら事務所を拡大し、社員数100名を超えたあたりから「登記・相続・債務整理」の3本柱を中心とするビジネスモデルへの移行を推し進めていった。

 「そのなかでも債務整理に関してのご相談が多いため、ここをプラットフォームにしていきたいと考えています」ともう1人の代表である宮城誠氏はいう。ウェブマーケティングが奏功し、数多くの相談者を抱える債務整理事業。その問い合わせ数は年間約10万件におよぶ。そのうち依頼を受ける件数は約1万件で、近年は若年層の問い合わせも増加している。

 このように債務整理の依頼が増加する根底の要因について、宮城氏はマネーリテラシーの欠如を挙げる。「このビジネスのゴールは生活改善であると思っています。我々司法書士が手続きを行って終了、というビジネスだと問題は繰り返されてしまいます。社会課題であるお金についての教養、いわゆるマネーリテラシーを身に着けていただくことを債務整理ビジネスの主眼としています」。リピーターこそ生まれない事業であるが、一度依頼を受ければ4、5年におよぶ長期的な付き合いになる依頼者たちへの献身的な姿勢も欠かさない。

 債務整理をするにあたって、同社はアプリの開発も視野に入れている。「使用者の収支状況、返済残高、毎月の返済計画などを一元化します。返済が終わった後も、その使い方についてフォローできたらいいかなと思います」これによりさらなる顧客満足度の向上が期待できる。
 また、同グループは新ビジネスとして、三越に相続専門の店舗を設置した。このアイデアは、同業者の間でも評判が良い。「相続は、高齢化社会が進んでいく日本において欠かせない事業になっていくでしょう。また、今までは不動産を名義変更しないままでもよかったのですが、3年以内に不動産の名義変更が義務化されます。これにより、今まで関心をもたなかった方も、自ずと相続について考えるようになっていくと思います」(宮城氏)。

 店舗設置の最大の利点はメインターゲットを絞ったことにある。「百貨店をよく利用する客層として、ご年配の方が挙げられます。店舗にあるチラシをもって帰られる方も多くお見受けするので、興味はもっていただけているのだと実感しています。また、百貨店の在り方自体も『物を売る・買う場所』に加えて、『みんなが集まれる場所』になりつつあるようです」と宮城氏は語る。

みつ葉が見据える未来

 同グループはSDGs「貧困をなくそう」の取り組みの一環で、若年層の貧困を少しでも解消するべく高校でのマネーリテラシーについての授業を提案している。昨年は予定日が新型コロナウイルス感染症の感染拡大による3度目の緊急事態宣言と重なり、開催が見送りとなってしまったため、今年こそはと意欲を示す。「これは収益目的ではなく、単に問題解決の一端を担うための手段として行っていきたいと思います」(宮城氏)。早期から返済の仕組みを知ることができる機会を創出することで、学生のうちからマネーリテラシーを培ってもらうことが何より大切だと考えているからだ。

 「借金は悪である」という考えをもつ人は存外多い。しかしそれは間違いである。何にしても良い方法、悪い方法が二極化するわけだが、お金を借りることに関しても同じことがいえる。「お金を借りて何をするのかが重要です。無計画な借金はもちろんいけませんが、たとえば投資に回してリターンを得るなど、レバレッジを有効にするためにはなくてはならない制度ですね」とにこやかに語る宮城氏は、お金に詳しくなることで選択肢が増える=お金のトラブルに悩まされない人生を歩めることにつながることを知っているからだ。

 全国で十指に入る大手へと成長したみつ葉グループは、3年後に売上高50億円の目標を掲げている。今後も「世のため、人のため、自分のため」、三方よしの精神に基づき、この社会になくてはならない企業として存在感を高めていくだろう。

【立野 夏海】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:宮城 誠/島田 雄左
所在地:東京都港区赤坂7-2-21草月会館7F
福岡オフィス:福岡市博多区博多駅前1-1-1博多新三井ビルディング8F
設 立:2013年9月
資本金:3,500万円
T E L:03-6263-0317
U R L:https://mitsubagroup.co.jp

 

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