2021年12月03日( 金 )
by データ・マックス

山口FGが調査報告書を発表~吉村猛取締役に辞任勧告 (前)

 【文書1】は元行員から4月30日付で、筆者宛てに送られてきた吉村猛山口フィナンシャルグループ(以下、FG)CEOに対する情報である。
 【文書2】はデータ・マックスおよび顧問の筆者宛てに5月24日付で送られてきた山口銀行OBからの吉村猛山口FG会長兼CEOに対する「内部告発状」である。文面から見て同一人物から送付されたものと思われる。
 この「内部告発状」は、山口FGや関係する企業にも送付されたものと推測される。そのため、この問題を重視した山口FGは、『社内調査本部』(調査本部長:福田進取締役監査等委員)を設置し調査を開始したものと推測される。

 山口FGは9月30日付で「社内調査本部による調査報告書受領および臨時取締役会開催に関するお知らせ」をニュースリリースしたが、調査報告書の内容についての発表はなかった。

 Net IB Newsではこれまで、山口FGの代表者交代を連載しているが、まだ読んでいない読者もおられると思うので、流れを要約していくことにしたい。

山口FGの吉村会長兼CEO(最高経営責任者)解任の流れについて
◆山口FGの株主総会は6月25日に開催され、議長の吉村猛会長が提出した自らの続投を含む議案すべてが可決承認された。
 しかし、山口FGは、株主総会後に開催した臨時取締役会で、吉村猛会長兼CEOは解任され取締役に降格。椋梨社長がCEOに昇格したと発表。

吉村会長解任の背景について
◆複数の関係者によると、吉村会長解任の直接のきっかけは、吉村会長が取締役会に報告せずに2018年に業務提携したアイフル(株)と、共同出資でリテール(小口業務)専門の新銀行の設立を計画したことだという。
・吉村会長は、コンサルタント会社の提案を丸のみするだけでなく、コンサル会社代表本人が銀行トップに就き、親族も雇用する計画だったため、社外取締役から「報酬も高く情実的なプロジェクト」と問題視されたからだという。
・コンサルタント会社とは、2021年5月21日付でNet IB Newsに掲載した「山口FGの吉村猛会長に対する「内部告発状」を検証する (3)」のオリバーワイマングループ(株)であり、新銀行のトップが吉村氏と親しい同社日本代表パートナーの富樫直記氏だったことが、吉村氏解任の動きに拍車をかけたといわれる。

 【表1】は富樫直記氏の経歴表である。なお、同氏は4月に同社日本代表パートナーを退任しており、吉村氏が新設を予定していた新銀行のCEOとなる準備をしていたと推測される。
◆議長席に座った吉村会長が1号議案として、吉村代表取締役会長兼CEOの選定、ならびに椋梨代表取締役社長の選定を諮ります」と発言すると、1人の社外取締役が手を挙げて吉村氏と椋梨氏選定の採決を分けるように提案。
◆これを受けて吉村氏が、まず自らの選定について「賛成の方は挙手をお願いします」と呼びかけると、オンラインも含めて出席した取締役10人のうち挙手が確認されたのは、吉村氏だけだったという。
◆【表2】は山口FGの取締役の経歴表である。社内取締役は1名減の3名。社外取締役は1名増の7名。新任は山本謙氏と三上智子氏の2名で留任取締役は5名。そのうち1人の社外取締役が挙手して吉村氏のCEOの留任に待ったをかける発言をしたというが、顔ぶれから見ると、三菱重工業の佃和夫特別顧問だと推測される。

<まとめ>
 山口FGは14日、前会長兼CEOの吉村猛氏が事実上解任された問題をめぐり、臨時取締役会を開催。会長兼CEOだった吉村猛氏が取締役会の決議が必要な新銀行計画を独断で進め、権限を逸脱した行為に対して取締役辞任の勧告を決議したと発表した。
 椋梨敬介社長兼CEOは下関市の本社で記者会見し、新銀行事業をめぐる調査報告書を公表した。銀行の元トップが取締役辞任を勧告されるのは極めて異例。椋梨氏は「調査で吉村氏の権限逸脱が認定された」と述べ、役員人事案を諮ることを視野に入れて、今後臨時株主総会を開く方針も明らかにした。
 山口FGの吉村取締役に対する取締役辞任の勧告は、『実録 頭取交替』に続くクーデター事件であることを認めたものと思われる。

【文書1】元行員から筆者宛てに送付された4月30日付の内部情報

【文書1】元行員から筆者宛てに送付された4月30日付の内部情報

【文書2】データ・マックスおよび筆者宛てに送られてきた山口銀行OBからの内部告発状

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(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

(後)

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